39歳妻はこうして「ド本命」の夫と結婚した 晩婚さんは理想より現実を重視するべきか?

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同棲のままで問題ないと言い張る直人さんをあの手この手でなだめすかし、交際を始めた記念日に入籍することができた。20代の頃はまったく結婚願望がなかった早苗さんが、なぜこれほどまで結婚にこだわったのだろうか。

「老後のことを考えるようになったからかもしれません。独身だと一人で死んでいくんだな、と不安になりました。同棲ではいつか別れるかもしれません。結婚すれば2人でずっと生きていけます。だって家族だから」

家族から祝福されているという実感

結婚してからは2人の関係はますます穏やかになっている。直人さんが料理をし、早苗さんがその他の家事をのんびりと担当。お互いに「ありがとう」という回数も増えて、ケンカになりそうな空気にすらならない。老夫婦みたいな生活だと新婚の早苗さんは笑う。

同棲時代よりも結婚したほうが和やかになった背景には、周囲の人たちから祝福を得られているという実感があるのかもしれない。

「結婚式はしなかったので、彼と一緒に地元に帰って親戚に報告しました。20人ぐらい集まってくれましたよ。お酒が飲めて物腰柔らかなイケメンの彼は大人気。以前にお見合いを組んでくれた叔母さんからは、『早苗ちゃんはこういう人が理想だったのね』としみじみと言われました。親戚みんなが喜んで泣いてくれたんです」

直人さんはサプライズを用意してくれた。あるときに高級レストランのランチを予約したと言われ、おめかしをして待ち合わせ場所のホテルに行くと、豪華な客室に案内された。そこには、早苗さんの婚活を応援してくれていた職場の人たちが待っていてくれたのだ。育児休暇中の親しい同僚までが子どもを連れて参加してくれている。直人さんが早苗さんの上司と打ち合わせて内緒で準備した「ミニ結婚式」だった。

結束が固すぎる親族から逃げるように上京し、20年近く仕事と遊びを満喫してきた早苗さん。いま、東京の家は引き払い、会社の業務は後輩に引き継ぎ、九州にある直人さんの実家で暮らす計画を立てている。同僚や友だちと離れるのは寂しいが、東京での忙しい生活には未練がない。直人さんとの静かな生活がひたすらに楽しみだ。

かつてはあれほど煩わしかった「家族」。20年の時を経て、早苗さんはその価値をかみしめている。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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