なぜ中国の一流大学は「広告学」を教えるのか ランウェーに咲く未来のスーパーモデル

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経済発展と広告教育

広告教育がかくも盛んな理由について、以前、私は共産党のプロパガンダや情報統制の必要から広告が研究されているのかと推察しましたが、これは誤りのようです。

もともと、広告は市場経済の発展に伴って、商品やサービスを消費者に売り込むための手段として発達するものですから、鄧小平の改革・開放政策が本格化して以降、内需拡大を支えるマーケティング技法として、広告の発展を重視したのではないかと思います。事実、アメリカの場合、広告に費やされるおカネはGDPの約2%、日本では約1%で長年推移しており、広告活動が経済発展を下支えする役割を果たすことの傍証となっています。

また、中国では広告やメディアが情報産業やクリエーティブ産業のひとつとして保護・育成されてきた面もあると思います。中央電視台や第一財経などの強大なメディア事業体は、企業や自治体を広告主として広告枠を販売するビジネスを急成長させて経済発展に貢献しています。これらの巨大メディア会社や広告代理店では大学で広告を専攻した人たちが数多く活躍しています。

さらに、中国では全国の主要都市が都市のイメージを高めて観光や投資を誘致する目的で「都市ブランディング」を積極的に行っており、そのためにテレビCMやイベントなどの広告手法がふんだんに使われています。

いずれにせよ、中国では一流大学がまじめに広告を教えている事実には驚かされます。逆に言うと、欧米や日本の大学は伝統的アカデミズムに、少々、忠実でありすぎるのかもしれません。

岡崎 茂生 フロンテッジ ソリューション本部副本部長

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おかざき しげお / Shigeo Okazaki

1981年東京大学教育学部卒業、1989年ピッツバーグ大学経営大学院MBA。1982年電通入社、2006年より北京駐在。北京電通 ブランド・クリエーション・センター本部長を経て、現職。30年におよぶ広告・マーケティング領域での経験をベースに、中国企業をはじめタイ、アメリカ、韓国、日本企業などを対象に幅広くブランド戦略コンサルティングを行なう。アジア各国およびアメリカの大学/大学院でのブランド講座・公開セミナー、フォーラムでのスピーチ、雑誌連載など多数。チュラロンコン大学商学部マーケティング学科客員准教授、南京大学ジャーナリズム&コミュニケーション学院客員教授、湖南大学ジャーナリズム・コミュニケーション&映像芸術学院客員教授。

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