21日の日銀決定会合で日本株は急変するのか 「追加金融緩和」でも日経平均は反応せず?

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市場ではこの日、銀行株が下落し、保険株が上昇した。翌15日には、全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀行頭取)が「マイナス金利政策導入から7カ月が経過するなかで、実体経済への効果はあまり表れていない」とコメント。また、16日には、三菱東京UFJ銀行の小山田隆頭取が、「マイナス金利の副作用について考慮してほしい」と述べている。

「追加緩和で買い」かどうかは、見方が分かれる

こうしたコメントは、日銀や市場からすると、想定内の反応だったのではないか。前出の国部・全銀協会長は「預金口座手数料の検討をしなければならない事態となる」ともコメントしている。マイナス金利幅の拡大は収益悪化につながるのでやめてほしいという理屈だが、銀行は旧大蔵省時代の「護送船団方式」の名残が残っている様子だ。

一方、証券会社は市場低迷で株式の手数料収入が激減して四苦八苦しているが、ラップ、投信、保険など幅広い金融商品の販売でなんとか乗り越えようとしている。実際、ラップ、投信、保険の販売状況も苦戦しているが、証券業界は稼げるところでカバーしようという気概だけはある。

対して銀行業界は、国債ディーリングでは利益を出しにくく、保険の手数料開示方針などの逆風を考慮するとリスクは取りにくいだろうし、ここで口座手数料をとるとなると、預金者からの反発も小さくなさそうだ。だが、証券業界にいる筆者に言わせれば、銀行は稼ぐためにあらゆる手段を取ってほしいものだ。

話がやや横道にそれたので元に戻すと、銀行業界から批判は挙がっているが、今回の日銀会合では、マイナス金利幅の-0.1%から-0.2%への拡大を実施する公算が大きい。

マイナス金利幅の拡大は、追加の金融緩和措置の一つである。これまでの流れでは、追加の金融緩和実施は、時に波乱ともなったが、株高につながっていた。株高となる期間はまちまちだったが、市場で「追加の金融緩和を実施」という速報が流れたタイミングでは、ほとんどの投資家はまず「買い」で反応していた。ただ、今回に限っては見方が分かれている。

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