21日の日銀決定会合で日本株は急変するのか 「追加金融緩和」でも日経平均は反応せず?

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その理由は一部前出の通り、マイナス金利幅の拡大実施で銀行株は売りとなりそうだからだ。銀行株が日経平均やTOPIX(東証1部の全銘柄の時価総額を指数化したもの)に占める割合はさほど大きくはない(メガバンクで日経平均寄与率は0.2%、TOPIXは4.6%)が、市場のセンチメントを冷やす効果は寄与率以上にあるからだ。

事実、1月29日以降の日本株下落の背景にはメガバンクを筆頭とした銀行株の下落の影響が大きい。つまり、今回の日銀会合でマイナス金利幅の拡大が発表されると、先行きの日本株低迷を嫌気した売りが225先物、TOPIX先物に入る可能性がある(もちろん銀行は売り)。

一方、為替市場では、マイナス金利幅の拡大で日米金利差などが意識されてやや円売り・ドル買いに進むと見られる。

日銀会合で売られても、その後は下げ渋る理由

筆者は、21日の日銀会合の結果発表後は「日本株売り、円売り」というスタンスを想定するが、この流れは長期化せず、ごく短期的な動きに留まると見ている。

というのも、日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れ効果もあるが、22日未明に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げが見送られる可能性が高いからだ。このことが下げ渋りの要因となろう。

CME(シガゴ・マーカンタイル取引所)が算出するFedWatchでは、9月利上げの確率はわずか15%にとどまっている。

8月下旬、FRB理事など各地区連銀総裁などによるタカ派の発言が相次いだが、9月上旬の相次ぐ米経済指標の下振れを受けて、利上げ機運はトーンダウンしている。もし、利上げ実施となれば市場はほぼ織り込んでいないので株急落、ドル高の荒れた展開となるが、さすがにこの織り込み度合いでは、利上げは見送りとなるはずだ。

利上げ見送りとなれば、「米株堅調、ややドル安」といった流れとなり、東京市場での「日本株売り、円売り」の流れはアンワインド(巻き戻し)となるだろう。

発表のタイミングでは荒い展開が見られるかもしれないが、週末23日には、16日の終値とほぼ同じ日経平均1万6500円レベル、ドル円は102円レベルの水準に収斂しているのではないかと考える。

日米金融政策発表という重要イベント通過後も、明確な方向性は確認できず、材料難のなか盛り上がりに欠けた相場展開になるのではないか。「先高感」も「先安感」も高まりにくい「低体温の地合い」は、9月下旬も変わらないと見る。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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