日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超えたが、その多くは70歳を超えたあたりから、がんや心疾患などを原因として亡くなっていくという。政府は健康寿命の延伸に躍起になっているが、現状では「不健康寿命」(平均寿命と健康寿命の差)は10年程度あり、しかも平均寿命が延びるとともに不健康寿命も長くなっている。つまり、どんなに医療技術が進歩しても人は必ず死に、死ぬ前の10年程度は不健康な時期を経て、そのために莫大な医療費、医療資源を使っているのだ。
1人あたり医療費でみると、80歳以上のお年寄りは年間90万~120万円の医療費がかかっているのに対し、30~50代の働き盛りは10万~20万円程度。このように、高齢者の医療を支えるのに莫大なコストがかかっており、しかも、その負担は公平かつ十分ではない。残念なことに、そのことが世間一般であまりよく知られていない。冒頭のような高齢者の長寿志向や健康欲ばかりが野放図に広がり、日本の医療制度は高齢者のための医療でパンク寸前になっている。
この記事は有料会員限定です
残り 931文字
