34歳独身商社マンがハマった「危険な癒し」 東京カレンダー「新・婚活事情」<1>
商社マンはモテるだろとか、やっぱりよく言われますけど、東京にはもっと戦闘能力の高い男たちもゴロゴロいるんで、そうでもないですよ。それに30歳もだいぶ過ぎれば、お食事会なんかの誘いもガクンと減りますね。そもそも周りはほとんど結婚していて、子供もいます。
たまに後輩に誘われてお食事会に顔を出してみても、後輩たちは先輩の僕に気を遣うっていうか、そういう空気が虚しくて、こっちもまた気を遣って、結局全部奢ることになって、「太一さん、誰か気になる子いました?」なんて言われても、素直に後輩たちに「あの子がいい」なんて、恥ずかしくて言えないじゃないですか。何か惨めで、そういうのも疲れちゃいました。
とはいえ、同年代の友人たちはほとんどが既婚なので、少し前までは後輩とよく遊んだり飲んだりしてたんですよ。お食事会や夏のイベントにもよく行ったし、BBQとか、あとホームパーティも。でも、若い奴らのノリについて行くのは、それなりの体力と気力がいるし、20代の女性たちと過ごすのも、何だか結局、すごく疲れるんです。
もちろん、時々仲良くなった女性はいますよ。でも、2人で食事なんかに行っても、異様に気を遣ってしまって全然安らげなかったり、食事のマナーや立ち振る舞いが気になったり、正直、マイナス面にばかり目が行ってしまうんです。
友人はそんな僕のことを「引き算方式オトコ」なんて言いますけど、いや、年齢が年齢なので、僕だって次に付き合う女性は結婚相手だと思ってますから。自然と女性を見る目が厳しくなるのは当然だと思いませんか?
会社のブランド力に食いつく女性も嫌だし、「ふぅん、商社マンね」なんて上から見下す港区女子はもっと嫌だ。僕は、優しくて、別に美人じゃなくてもそこそこ綺麗で、それなりのマナーを心得てる、ごく普通の女性でいいんですけど、普通の人って、なかなかいないんですよね。
「気持ち悪い」と言われた苦い過去
そうだ、嫌な事を思い出しました。
2年くらい前ですけど、久しぶりに、いいな、と思った子がいたんです。某大手損害保険会社に勤めていて、めちゃくちゃ可愛くて女らしくて、結婚には理想のタイプの女性でした。お食事会で出会って、僕、積極的にデートに誘ったりして、彼女の反応も悪くなくて、上手くいってると思ってたんすよ。