ローソン、三菱商事子会社化で狙う2つのこと 商品力向上と海外展開強化で挽回目指す
1つ目はローソンが業務改革の本丸に位置付けている「小売業から製造小売業への転換」を、三菱商事に後押ししてもらうことだ。
今まではローソンが原材料を直接調達することはあっても、製造部門はベンダー任せで深く関与してこなかった。そこで素材調達から加工、販売まで一貫してローソンが携わることで、消費者が求める商品作りを徹底させていく。具体的には山崎製パン、日本水産、キユーピーなどローソン専用工場を持つ企業に対して、ローソン自らが設備投資を実施するというものだ。
競争力のあるベンダーに発注先を集約することで、コメの炊き方やパンの作り方など商品の品質を均一化するとともに、「こだわり商品」の開発も容易となる。質を向上させ、セブンとの日販差を埋めるうえでも重要な取り組みとされる。ローソンは三菱商事に対し、資金面や人材面でのバックアップを要請しており、出資比率引き上げとともに製造小売業への転換を推進すると考えられる。
海外展開の遅れをバックアップ
もう一つの狙いが海外展開の強化だ。実はローソンは海外事業という面において、日本のコンビニの中で後塵を拝している。8月末時点のローソンの海外店舗数は926店。一方、セブンが4万1046店(6月末)、ファミマが6092店(8月末)と桁違いの差をつけられている。
人口減少トレンドの日本では、いずれコンビニが飽和する。そういった点を考えても、コンビニ各社にとって海外展開は成長戦略の重要な柱に位置付けられる。
ローソンは今年7月、2020年までに海外店舗数を3000~5000店規模へ拡大することを表明した。その中心となる中国では2000~3000店までの規模に拡大する計画だ(8月末804店)。グローバルのネットワークが強い三菱商事のリソースを最大限に生かすことで、海外における競合との差を埋めていく狙いがある。
玉塚会長は2016年2月に実施した東洋経済のインタビューで「お客さまの生活全体、町の生活全体を支援していく。そのプラットフォームは、オール三菱にとっても大事になっていく。三菱商事ももっとローソンの経営に踏み込み、いろいろな意味で支援を惜しみなくしてくるだろう」と話していた。
三菱商事のより強固な後ろ盾を生かし、コンビニ業界の中で薄れかけていたローソンの存在感を再び高めることはできるか。
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