ローソン、三菱商事子会社化で狙う2つのこと 商品力向上と海外展開強化で挽回目指す
2016年3月には玉塚氏が社長から会長に、三菱商事出身の竹増貞信氏が副社長から社長に昇格する人事を発表した。それぞれの管掌は変わらない一方で、三菱商事出身者が社長になったことで「今後は三菱商事がローソンへの関与度を高めていく」(競合役員)という見方があった。
三菱商事の側にもローソンへの関与を深めたい理由がある。原油など商品市況の急落でこの10年間稼ぎ柱だったエネルギー・金属事業が苦戦。今年4月に三菱商事社長に就任した垣内威彦氏は、5月に発表した新中計で資源分野の投資残高を増やさない一方、非資源分野への投資加速を経営戦略の中核に据えている。中でもコンビニは消費者との接地面積が大きく、今後、非資源分野での中核的なプラットフォームになっていくことは間違いない。
三菱商事の社長は前ローソン社外取締役
しかも垣内氏は元生活産業グループCEO(最高経営責任者)。畜肉の営業部門一筋で、直近までローソンの社外取締役を10年間務めた食料・流通部門のプロだ。
投資先への経営関与を深める“事業経営”を標榜し、東洋経済が4月と5月に行ったインタビューでは「(ローソンには)必要であれば今まで以上に積極的に株主としてサポートしていく。今より深く経営にかかわっていくという風に取ってもらっても結構だ」と話していた。
ローソン社長に昇格した竹増氏は同じく三菱商事で畜産畑を歩んでおり、かつての垣内氏の部下だった。こうした人事も今回の出資引き上げに影響したと考えられる。
出資比率の引き上げに伴い、ローソンが三菱商事に求めるものは大きく2つある。