最近は、いくら何でもこれは規制しなければ、ということで不動産投資が投資ビザの対象から外された。これに加えて中国本土の景気のモメンタムがやや鈍化してきたことから不動産価格の上昇も一段落しているように見えるが、腹立たしいことに高級マンションの家賃はいまだに上がり続けている。これは不動産価格上昇をあきらめた層が、代わりに賃貸市場に流れてきているからだ。
さて、私が同じく仕事で多くの時間を過ごすシンガポールでも数年で地価および家賃が倍になっている。その背景には、後背に擁するインド市場やASEAN市場の成長でその入口のシンガポールに資本と労働者が流入していることに加え、シンガポール当局が政策的に外国人労働者を積極的に受け入れ(といっても審査はかなり厳しいのだが)、“経済に貢献する外国人を世界中から集める”政策を推進しているという事情がある。
東京のホテルは安すぎる?
これに対し、東京の高級マンション価格はミッドタウン以外(あそこは何が何でも値下げに応じてくれないが、さすがにそれだけの価値はあるサービスを提供している)多くの物件で大幅な下落を見た。そこに住んでいた毎月100万円、200万円の家賃を支払うエクスパットのビジネスパーソンがどこに移動したかは文脈からご推察いただけるかと思う(念のため言っておくと香港やシンガポール)。
港区にある高級マンションの家賃が2007年に比べ著しく低下し、また5スターホテルにネットを通じて予約すれば3万円程度(ちなみに香港だと6万円は覚悟)で泊まれるのは消費者にとっては大変ありがたい話だが、世界規模での“高給取りビジネスパーソン獲得競争”という意味では非常にalarming なindicator (危機を感じるべき指標トレンド)であるように思える。「東京のホテルなんて、高すぎて泊まれない!」と文句を言われるようになって初めて、経済が本格回復したといえるのかもしれない。
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