消費増税前の住宅駆け込み需要は期待できるか 積水ハウス VS.大和ハウス

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住宅市場の場合、どれくらい先食いのインパクトが出るかはわかりませんが、需要の先食いの反動は確実に起こります。消費税増税の影響がどこまで拡大するのか、来年以降の業績に注意が必要です。特に住宅は、多くの人は一生に1度か2度しか買わないものですから、その影響が長引くおそれがあります。

今回分析した2社の業績は安定していますから、消費税増税後に即座に経営難に陥るわけではありません。しかし、住宅業界全体では消費税増税後の影響には注意しなければならないと思います。

安倍政権は、消費税増税の影響を考えているのか

アベノミクスでは、名目成長率目標3%、物価目標2%を設定していますが、消費税増税の影響が考慮されているのかどうか、非常に疑わしいのです。うがった見方をすれば、わざと消費税の問題に触れていないのではないのかとさえ思います。

安倍政権は、先にも述べたように、今年秋に景気の状況を見て消費税増税を判断すると言っていますが、仮に一時的に四半期のGDPが上がったとしても、長期的に上昇し続けなければ増税分を吸収することはできません。しかし、日本は過去20年以上にわたって低成長が続いているわけですから、名目成長率3%を維持することはきわめて難しいのです。

だからと言って、消費税を上げないということも考えにくいのです。増税を行わなければ、財政赤字の問題がますます深刻になり、日本国債の信任が失われるおそれがあります。ですから、増税しないという選択肢はほとんどないのではないでしょうか。しかし、消費税を上げてしまうと、今度は景気の失速懸念があるという難しい選択を迫られることになる可能性が低くはありません。

私たちは、経済指標や企業業績などの数字をきちんと見て、状況を把握しておかなければなりません。その時、マクロ経済という面でも、企業という面でも、増税のインパクトを織り込んで考える必要があります。アベノミクスの期待だけで「景気がよくなった」と判断するのではなく、数字からしっかりと現状を認識することが肝要です。

小宮 一慶 経営コンサルタント

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こみやかずよし / Kazuyoshi Komiya

小宮コンサルタンツ代表取締役CEO。大企業から中小企業まで、企業規模や業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、講演や新聞・雑誌の執筆、テレビ出演も行う。著書に『「なれる最高の自分」になる方法』『ビジネスマンのための「習慣力」養成講座』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』(日本経済新聞出版社)、『株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本』(PHPビジネス新書)など。

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