中野:確かに、設備投資を行わないどころか、「俺たちの会社の内部留保をどうしてくれるんだ」などと、クレーマーになる経営者が出てくるかもしれませんね。まあ、でも、今回の総括に関しては、これまで日銀がやってきたことを否定するわけにはいかないので、引き続き金融緩和ができるような含みを残したような内容のものになるとは思います。
渋澤:もし、どうしても物価目標を短期的に達成したいのであれば、とっておきの方法がひとつありますよ。怒涛な批判を、一部を除いて世界から浴びるでしょうが。
藤野:それは?
渋澤:なぜ物価が上昇しないのか。その原因は世界的な資源価格の下落にあります。だから、原油価格を上げてしまえば、2%という物価上昇率を簡単に実現できるでしょう。日経225平均株価やTOPIXに連動するETFを買うのではなく、同じETFでも原油価格に連動するものを買うのです。そうすればETFを通じて原油価格は一気に上昇するでしょう。2%の物価目標なんて、国債や株式買い入れより、もっと少ない金額で、もっと短期的に達成できると思います。もちろん、これは本質に目をつぶって、目標達成だけの術ですけどね。
2017年の株式市場を強気で見る理由
中野:ロシアのプーチン大統領は大喜びでしょうね。北方領土返還の可能性も高まるのではないでしょうか。
藤野:なるほど。ロシアは原油価格の低迷で国の経済そのものが厳しい状況ですから、それはありですね。あと、ETF買い入れの話が出たので、ついでに申し上げておきますが、来年の株式見通しについて、私自身は強気です。新興国経済も徐々にしっかりしてきましたし、これから全世界的に財政を出動させ、道路を補修したり、新たに造ったりするケースが増えてくるでしょう。米国のハイウェイも、今のレーンにもうひとつ新しいレーンを造り、そこをドローンや自動運転車の専用にすることも考えられているようです。いずれにしても、道路に対する投資が増え、それに関連した企業の業績に対する期待感も高まりそうです。
中野:もしそうだとしたら、日銀がせっせとETFを買う必要はないわけですが、日銀自身も、物価目標を達成するために無茶な金融緩和を行うことについては、副作用が大きいと認識しています。市場関係者の注目度も高いだけに、今回の総括は、おそらく無難な内容に収まるのではないでしょうか。
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