黒田日銀、3つの想定内と3つのサプライズ 「4.4超金融緩和」で、国債はバブル&バブル崩壊へ

✎ 1〜 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 最新
拡大
縮小

また、当然だが、額も異次元。今の2倍はともかく、今後、新発国債発行額の7割を日銀が買うことになる。新発債を直接買うわけではないが、市場に出てきたものの7割を日銀が買ってしまうのだから、民間金融機関で満期が来た国債をロールオーバーする金融機関もあるから、そうなると、新しい国債は新しい買い手にはまったく出回らないことになる。ロールオーバーも難しくなるだろう。

2つ目のサプライズは、一気に一発で玉を打ち尽くしたところだ。逐次投入はしない。「現在やるべきと思われるものはすべてやった」という、黒田総裁の言葉通りのものだった。これがマーケットインパクトを与えた。

政策決定会合の前から、発表内容は決まっていた

しかし、何より、一番驚いたのが、5人の審議委員だ。これまで、ずっとやらなかったものを、総裁が変わったらあっさり賛成するというのは、どういうことなのだろうか。木内委員以外は説明がつかないのではないか。審議委員は要らない、総裁一人いればいい、ということなのだろうか。

さらに驚いたのが、黒田氏が説明に使ったパネルが多種多様だったことだ。準備万端。普通は準備万端ではいけない。なぜなら、直前まで、議論を尽くした上で、すぐに採決、発表するから、パネルを準備するヒマが普通はないはずなのだ。ということは、実質昨日の時点で、4日に発表するモノは決まっていたということだ。

もちろん、根回しもいろいろあるだろうが、この建前は守らないと、政策決定会合の意味がなくなる。ウォールストリートジャーナルで、「初会合で全員を説得した黒田総裁」という記事が出ているが、間違いだ。彼らは、会合の前に説得された。しかも、黒田氏にではなく、事務方に、だ。さらに言えば、説得など必要ない。総裁と世論の言いなりになる委員だから、いかなる場合でも説得する必要はないのだ。これが、三番目の最大のサプライズだ。

次ページあまり浮かれてもいられない
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT