――そういった最新の技術を開発されている御社ですが、世界から見て、そして日本から見て、日本信号はどのような役割を果たしていると認識していらっしゃいますか?
世界から見ると、やはり日本という非常に狭隘なところで、多くの乗降量を持つ鉄道システムを運営できる信号などのノウハウですね。これは新興国の環境とよく似ています。そういう意味では、例えば自動改札は海外のものだと1分間に通れる人数がだいたい40~50人ですが、日本のものは性能的にいえば100人ぐらい通れるんですよ。
――そうなんですか?知らなかったです。
公称だと60~70人ちょっとですが、性能としては100人ぐらい通れるんです。ですから、あの狭い改札口の中で膨大な人数を処理できます。そういうところはやっぱり日本メーカーとして、ちょっと秀でたところではあるんじゃないかなと。
鉄道信号の未来は無線にあり
――鉄道の運行システムについてはいかがですか。
鉄道信号の大きな課題は、今のシステムでは利用者が増えると輸送量の増強が難しく、混雑度が高まってしまうことです。今の鉄道システムは、この区間に1つの列車がいたら絶対にほかの列車が入れない、そういう仕組みなんですよ。
――はい。「閉塞」ですね。
軌道回路というもので閉塞を区切ってありますが、いま海外、アジアの新興国などで建設しているところに使う鉄道システムは、無線によって軌道回路そのものをなくすというシステムチェンジがありまして、それを使用すると極端にいえばぶつからない程度まで間隔を縮めることができるので、輸送量の増強に寄与できます。今は新興国の新しい地下鉄は無線方式が主要なシステムになってきました。当社も北京などに入れています。
――そうすると、鉄道運行システムの今後のトレンドは無線を使ったシステムということになるでしょうか?
信号システムとしては、さらに乗り心地を快適にするためにいろんな仕組みがあります。今までのシステムでは、減速する場合は100キロから80キロ、60キロ、40キロと速度信号が段階的に変わっていたんです。今は停まるところまでの距離を見ながらワンブレーキで停めるようにしているので、乗り心地が良くなっています。
ただ、それ以上にやっぱり混雑緩和というのが課題で、お客様もそれを意識されていますので、第一にはいわゆるCBTC(Communications-Based Train Control、無線制御による信号システム)かと思います。
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