したがってメイ首相にとって当面の課題は、欧州との交渉を始めるに当たって何を優先するかを特定することだ。テーマの幅広さを考慮すれば、離脱交渉は数年に及ぶ可能性もある。さらなる長期化を防ぐには明確な優先順位づけが欠かせない。
都市と地方の差を埋められるか
仮に彼女が離脱交渉をスムーズに進めたとしても、国民の中には不満を抱く人が生じるだろう。そもそも6月の国民投票でEU離脱派が票を伸ばした背景には、労働者階級の不満があった。
彼らはEU加盟によりロンドンなどの大都市は恩恵を受けたが、地方は職を奪われメリットを享受できなかったと不満を述べてきた。とはいえ彼らが主張してきたような、移民の排除やEUへの拠出金の回避で経済的恩恵がもたらされるというシナリオも、そう簡単には事が運びそうにない。
こうした状況を加味すれば、ブレグジットによって英国はさらなる分裂危機に直面する可能性がある。それをどう回避するのか。メイ首相は難しい舵取りを迫られる。
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