大林組が表参道のビル一新、最新技術注ぐ 表参道の新ビルはデジタル設計駆使し地震対応も徹底

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新発想の制震システム

「フラマスダンパーシステム」のキモとなる制震ダンパー

東日本大震災並みの震度6強の地震による揺れを20~30%低減し、構造体を損傷しないフラマスダンパーシステムを初めて適用した。通常屋上などに設置する制震用おもりを置かず、外装をおもりとする新しい発想の制震システムだ。

建物本体の外側を、制震ゴムで連結したフレームで覆い、フレームには緑化パネルや太陽電池パネル、保水冷却ルーバーなどを設置して、制震用のおもりとする。環境と制震性能の2重の効果を狙った。

建物内部に制震装置を置かずにすむので、室内レイアウトが自由にできる。コンクリート施工時のCO2排出量を80%削減したクリーンクリートを、繊細な管理が必要な地下躯体部分に使っているが、これも支障なく工事が進んだのはBIMの効果だ。

さらに、震災発生直後の着工のため、着工前には考えていなかったBCP対応の需要に対しても、柔軟に対応できた。非常用浄水槽や非常用発電機、オイルタンクの設置、非常用エレベータ、トイレ浄水槽に加えて、帰宅困難者待機スペースなどもあり、災害発生から72時間の対応が可能となっている。

屋上緑化にも力を入れた。在来種による緑化で、青山墓地や神宮外苑などから飛来する鳥類や昆虫などを意識した作りになっている。「屋上緑化」単独で初のJHEP認証を受けた。

このほかにもランニングコストを55%削減する照明、空調、採光などさまざまな技術を盛り込んでいる。表参道のみならず、グループの不動産賃貸事業を象徴する「ランドマーク」としていく方針だ。

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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