大阪「北ヤード」再開発が“最後の砦” 地元・竹中工務店の強い思い入れ
「大本命が受注を勝ち取った」--。
近畿圏における最大にして“最後の一等地”。それが大阪の「梅田北ヤード」だ。JR大阪駅の北側真向かいに位置し、敷地面積7ヘクタールの先行開発区域「グランフロント大阪」では、2013年春の開業に向けて着々と工事が進められている。地上38~48階建ての高層ビル4棟の姿も、次第に形になってきた。
技術交流や情報発信の場として期待される知的創造拠点「ナレッジ・キャピタル」を中心に、オフィス、商業施設、ホテルなどが入居する予定。エントランスとなる大阪北口広場は建築家の安藤忠雄氏がデザイン監修した。
広場や屋上庭園、公園などを設置し「人が集まりやすく交流しやすい街」(三菱地所の山口修一・プロジェクト推進室長)を目指す。
1日の乗降客数250万人のJR大阪駅に直結する“街”。立地条件は最高だ
北ヤードは、1987年の国鉄改革に伴い国鉄清算事業団へ承継された総面積24ヘクタールの土地。西側は現在も、JRの貨物駅として利用されている。
「都市再生緊急整備地域」に指定(02年)された後、大阪市や土地の一部所有者となったUR都市機構が協力し、活用方法を協議してきた。06年、東側の7ヘクタール(先行開発区域)について開発事業者のコンペを実施。近畿圏の再開発にしては珍しく、「名の知れたスーパーゼネコンのほとんどが意欲を示してきた」(UR)ことから、注目度の高さがうかがえる。
入札した4チームの中から、三菱地所をはじめとする12社の企業連合体が約3000億円で土地を落札。土地代を含む総事業費は約6000億円に上る(週刊東洋経済推定)。在阪のスーパーゼネコンである竹中工務店と大林組(施工を折半で受注)など“地元組”が名を連ねたことから、「大本命が勝ち取った」との見方が強い。
開業後は竹中など上位数社の10%を上限にテナントの賃料収入などが分配される予定で、数十年にわたる収入源となる公算が大きい。