LINE、実は営業赤字 投資負担先行でも、存在感示す
それもそのはずで、LINEの収益源は日に日に多様化している。スタンプの有料販売を始めた昨年4月を皮切りに、7月にはLINE上でゲームの提供を開始。11月には、配信人数1万人を限度に月額5250円で法人や個人事業主がアカウントを持てる「LINE@(ラインアット)」を公開した。12月には小学館集英社プロダクションと組みLINEのスタンプキャラクターのアニメ化やグッズ販売強化を仕掛けるなど、様々な取り組みを進めている。
スマホユーザーの9割が使う
旧NHNジャパンの社長であり、LINE株式会社でも社長を務める森川亮氏は3月中旬に行われた業界向けのイベントで「LINEの足元は1週間で200万以上登録され、登録者数のうち実際に利用する月間利用者は8割と高い水準を保っている。今やスマホユーザーの9割がLINEを使っており、属性も満遍なく広がっている」と述べている。
収益成長に関しては「(企業が利用する)スポンサードスタンプは夏まで満稿が続いている」と自信をのぞかせた一方、「収益だけでなく、インフラとしてどう貢献できるか。コミュニケーションを通じ、どう豊かになれるのかを追求していきたい」とも語っている。
「札束で殴り合う」とも言われ、未成年も含めた過度な課金が懸念されているソーシャルゲームとは違い、収益面におけるLINEの成長スピードは決して速くない。しかし、森川社長らが目指している方向は、これまでのネット企業が弱かった「オフラインを含めたつながりの構築」にある。新しく生まれたLINE株式会社は、積極的な投資により赤字を先行させながらも前人未踏の領域に挑もうとしている。それが、前年度決算が示す本当のメッセージかもしれない。
(撮影:梅谷 秀司)
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