こうした日本経済がたどった経緯を、上記の候補者がどのように認識しているは不明である。玉木氏が目指す理想に筆者は賛同したいが、財政収支が名目GDP・税収に連動して動くという原則を理解しないと、かつての民主党政権と同じ失敗をたどることになる可能性が高い。
また、共同記者会見で蓮舫氏は経済政策について以下のように述べている。
「(安倍政権との)最大の違いは分配のあり方だと思います。確かに安倍総理の経済政策、税収増になっている。この部分は一定の評価をさせていただきますけれども、そのお金の使われ方がたとえば補正予算でアベノミクスの成果が行き届いていないところにという形で、次世代への借金の、減らすというところにつながっていません」
「限られた財源、限られた税収があるのであれば、3年9カ月かけて、結果が出ていないのであればそれは踏みとどまって、一度考え直して、どこに再投資、再分配をしていくかを考えていくべきで、私たちはその答えがあります。」(出所:The Page民進党代表選挙の候補者による共同記者会見(全文2)経済政策についてなど)
安倍政権の成果に一定の評価を与えているが、「増税で税収を引き上げたこと」が評価できると考えているとみられ、税金の使い方に問題があり再分配を徹底することが重要と認識している。年金制度改革など社会保障を充実すべきとしているが、実際には安倍政権が目指す「1億総活躍政策」によって部分的だがすでに実施されている部分がある。先述したとおり、税収が増えた最大の要因は、増税ではなく金融緩和強化→企業利益・名目GDP・雇用拡大が起きたことだが、この点についての認識は不明である。
前原氏のアベノミクスへの批判
金融政策についてはどうか。先のチラシには金融政策についての候補者の考え方は書かれていない。本来金融政策に対して政治から行き過ぎた介入は望ましくなく、黒田総裁率いる日本銀行を信用していれば、あえて示されることはないということかもしれない。ただ、共同記者会見で前原氏は以下のように述べている。
「私はアベノミクスをまったく評価していません。金融一本足打法で、金融緩和をして金利を下げて、そして金利差で円安にして株高にしていって、そして所得税と法人税が上がるのは当たり前です。税収増になるのは当たり前。しかしその対極として今、391兆円の国債を日銀に買わせていると。これ、高い値段で買っていますから、将来これを消却する、あるいは売却するときには金利が上がって国債の値段は下がりますから、そういう潜在的な負債を考えたときに、税収増でアベノミクスは成功したということはまったく言えないと私は思っています。つまりこれは破綻への壮大な実験でしかないと。つまりは金融緩和ができなくなったときにアベノミクスは尽きると。そういう危険なギャンブルは終わらせなきゃいけないと、そう思っています。」(出所:前出と同じ)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら