民進党代表選候補の「経済政策」を総チェック 結局、日本経済「最大のリスク」とは何なのか

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野党が現政権を批判することは一つの役割であるが、そうした批判が的外れで有権者の生活を脅かすのであれば支持を得ることは難しい。安倍政権が誕生してから、民進党などは経済政策について代案を示さず、アベノミクスに対して揚げ足取りをしたり憲法改正などを争点にしようとしてきたが、国民の支持を得ることができなかったと思われる。何より過去20年余りのデフレと低成長に、多くのビジネスパーソンはうんざりしているのだろう。

こうした状況を理解し、民進党の新たなリーダーは、本来のリベラル政党が唱える経済政策を掲げて代表選に臨むのだろうか。もし民進党が経済政策において安倍政権と建設的に議論を戦わせ切磋琢磨すれば、再び失政が繰り返され日本経済がデフレに戻るリスクも自ずと低下するだろう。たとえば、かつて安倍首相が言及していた日銀法改正は、脱デフレ実現とともに重要と筆者は考えているが、これが進捗していない。野党が安倍政権を批判できる点は、いくらでも残っている。

税制改正による分配強化を掲げる蓮舫氏

民進党代表選に名乗りをあげた3名の候補者の経済政策の考え方を確認して、今後、日本経済について建設的な議論ができるような望ましい将来が期待できるのか、以下で考えてみたい。なお外交・安全保障政策も日本の経済活動にとってリスク要因になるが、本コラムでは財政金融政策に焦点をあてる。

以下は、代表選広報(チラシ)をもとに、候補者の財政政策の部分について抜粋した。

蓮舫氏は、「持続可能な財政構造を実現」「所得税の累進性を強化するとともに、金融所得への課税を強化」「消費増税は、社会保障充実と身を切る改革・行革の実行を前提にする」としている。「持続可能な財政構造」が何を指すかはっきりしないが、税制改正による分配強化を行う方針は理解できる。ただ、安倍政権も限界的とはいえ低所得者に対する給付金を行うなど所得分配を行っており、それを上回る所得分配政策なのか税制の中身を見ないと判別できない。消費増税については、行革などを前提としておりその判断はあいまいだが、従来の消費増税必須の姿勢を前回参議院選挙で見送りに変更し同じ政策を維持しているとみられる。

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