「好き嫌いで人事評価」はアリかナシか?

インテリジェンス創業者、鎌田和彦氏の好き嫌い(上)

楠木:初期に始められた「スチューデントレポート」は、わりと構想系の仕事ですよね。企業側に、「学生の就職活動動向を毎週お届けします」という試みはそれまでなかったものですし。

鎌田:それなりに自分の創造力を使っている感じもありました。事業には、単に計画どおりに人を配置すれば戦線拡大ができる仕事もありますよね。どっちかというと、そういうのは好きじゃないですね。もっと楽しくない仕事は、人と接することだったりして(笑)。あまり言っちゃいけないと思いますが。

楠木:でも、鎌田さんは完全に仕事だと割り切って、いざ営業活動となればベタに行けるほうですよね。

鎌田:そうですね。そういうときはそういう自分をつくって行けるから。

楠木:僕の仕事だと本格的な営業なんて全然ありませんが、大学として何か売りに行くことはあるわけです。そういうときにはベタベタに営業モードで行くので「社長! 耳寄りなお話がございますよ!」みたいな。で、けっこうスベってる(笑)。

鎌田:手をとことんもんで、こねちゃうみたいな(笑)。僕も近いかもしれない。

楠木:10年以上前に聞いて、僕が今でも覚えている鎌田さんのエピソードがあります。ある大きな会社に、ある偉い人がいた。その人は役員になれると思っていたのに、なれなかった。ちょうどその頃鎌田さんが営業に行き、その偉い人と一緒に飲みに行った。

初めのうちは普通の会食の席だったけれど、飲むうちに偉いおじさまは荒れてきた。最後の最後で役員か何かになれなくて、寂しかったのでしょうね。「おまえなんかベンチャーとか言っているけれど、結局、金儲けだけだろ」と絡み出す。鎌田さんはしばらく「恐縮です。すみません。どうも」と言って受け流していた。でもガマンできなくなって途中で突然、「もうお前のところの仕事なんかいらねえよ!」と、ぶち切れた、というあの話。実にイイお話ですね(笑)。

鎌田:よく覚えていないけれど、「もういい」って言いましたよ。「もう、あんたとは取引しないでいい」って。「おまえなんかよりも全然、日本のこと考えてるよ!」みたいなことを言いましたね。でも、本当にいい話ですか? 普通は怒りますよという絡み方だったから。

楠木:すばらしいと思います。単なる僕の好き嫌いですけどね。「会社のためにやっています!」という人は、最後まで完全に演じきれるというか、仕事の役割に徹しきれる気がします。そうじゃないところが、鎌田さんの魅力。

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