楠木:どのあたりが評価されないと感じたのですか?
鎌田:自分勝手とは思わないけれど、人に命令されるのがあまり好きじゃないとか、自覚があるわけです。普通に会社員のルートを行けば、気に入らないことをさせられる羽目になると思っていました。

アート・クラフト・サイエンス代表取締役会長
1965年神奈川県生まれ。88年慶応義塾大学文学部卒業、リクルートコスモス(現・コスモスイニシア)に入社。89年宇野康秀氏らとともにインテリジェンスを設立。99年同社代表取締役社長に就任。JASDAQ上場を実現するほか、数々の事業を展開、M&Aの推進などで、同社の発展に貢献。2008年同社を退任。2009年にアート・クラフト・サイエンスを設立。株式会社K&Aの代表取締役社長を兼務。著書に『奥さまはCEO』(牧野出版)がある。
楠木:学生時代を振り返っていただいて、こういうのがイヤだなあ、社会人として、こういうふうにはなりたくないなというイメージはありましたか。
鎌田:当時はバブルでしたから、学生企業に出入りする総合商社も都市銀行も勢いがあったし、エリートサラリーマンが集まっていたわけです。仕事もバリバリやっているし、夜はディスコでブイブイ言わせている的な。そういう人たち、たとえば、広告代理店の人も気に入りませんでしたね(笑)。
楠木:当時、六本木のザ・ハンバーガー・インの交差点を左に曲がったあたりにBMWで乗りつけていたような人たち(笑)。何が気に入らないのですか?
鎌田:いや、実際にそういう人たちと出会ったわけではないのです。ただ、エリートサラリーマンは女性にモテるじゃないですか。簡単に言うと、女性にモテる若い勢力がムカついた。いや、若くなくても、カネを持っているおやじには女性が集まってくるからムカつくと(笑)。
楠木:メインストリーム感がとにかく嫌いだということですか。
鎌田:イヤですね。ピカピカなエリートみたいな人たちと一緒に仕事をして、評価されるイメージが湧かなかった。
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