消費税増税は、企業業績にどこまで影響するのでしょうか。生活用品を扱うユニ・チャームと花王の財務内容から考えていきましょう。
まず、ユニ・チャームの2012年3月期の財務内容を見ていきます。貸借対照表から、企業の中長期的な安定性を示す「自己資本比率(=純資産÷資産)」を計算しますと、51.5%と抜群にいい数字であることがわかります。
社債や借入金などの有利子負債は1240億円ほど抱えていますが、財務内容全体から見ますと、それほど多いわけではありません。すぐに支払いに充てることのできる「手元流動性」は、「現金及び預金」や短期の「有価証券」を合計すると868億円。これは月商の2.4カ月分にあたりますから、十分余力があると言えます。
収益性はどうでしょうか。次ページの損益計算書を見てください。2012年3月期の「売上高」は4283億円であり、前期より13.6%伸びています。売上高から販売費及び一般管理費を引いた「営業利益」は519億円と前期より増えています。事業活動の効率を示す「売上高営業利益率(=営業利益÷売上高)」は12.1%となっており、非常に高い水準であると言えます。
先程、消費税率が上がった場合は増税分を企業が吸収しなければならない可能性があるとお話しました。これは言い方を変えますと、「売上高営業利益率」が5%以下の会社の場合、増税分を価格に転嫁できなければ、利益のかなりの部分を失うおそれがあるということを意味します。
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