「名前が出てこない」がピタッとなくなる方法 歳のせいではなく「努力不足」が原因だった

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まずは「覚えているうちに繰り返す」。ワーキングメモリに入って覚えているうちに繰り返すことです。覚えていることは、繰り返すのも楽ですよね。覚えているのに繰り返す必要はない、と思うかもしれませんが、ワーキングメモリに入っているだけでは本当に覚えてはいません。

そして、繰り返すなかでも効果があるのが、「思い出しながらくり返す」。普通は名前を覚えようとするときに、名刺の名前を見ながら繰り返す人が大半でしょう。ただ、それではあまり効果がないのです。それよりも、名刺を見ないで相手の顔を見て名前を思い出そうとすること。

名前を覚えた状態というのは、相手の顔を見たり思い浮かべたときに、その人の名前が出ることですから、それを実際に行うのです。もちろん、すぐに思い出せなければ、名刺を見て構いません。とにかく、相手の顔を見て、サッと名前が思い出せるまで繰り返すのです。

五感を使えば記憶はより強化される

さらに効果があるのが、「話しながら繰り返す」こと。つまり、会話の中で相手の名前を実際に話しながら繰り返すことです。これは話すことで、耳からの記憶にもなりますし、口を動かした運動の記憶にもなります。こうして五感をできるだけ使うことで、記憶が強化されるのです。

そして、最後の繰り返しが「イメージに変えて繰り返す」こと。これは、名前を何か具体的なイメージに変えて、そのイメージを繰り返し思い浮かべながら、相手の記憶と結び付けるのです。先ほど、出身地や趣味といった「意味ある」もののほうが名前という「意味のない」ものよりも記憶に残りやすいことを解説しましたが、強引にでもいいので、名前を具体的なイメージにしてしまうのです。

私の名前の「宇都出(うつで)」であれば、なにかボールを打っているところをイメージしたり、「池谷」であれば、谷間にある池に相手が浮かんでいるイメージにしたりといった具合です。こうして具体的なイメージにすることで、相手の記憶と結びつきやすくなり、そのイメージから名前を思い出すことができるようになるのです。

この4つの繰り返しを行えば、「名前が出ない……」がピタッとなくなるでしょう。

人はついつい、「私は記憶力が悪いから」「歳のせいで記憶力が悪くなったから」と記憶力のせいにして、覚える努力をしようとしません。ただ、「あの人、記憶力がいいなあ」と思われている人は、ここでも紹介したようなちょっとした努力をしているだけにすぎません。

そのほか、「大ざっぱであいまいな記憶は残りやすい」「位置、空間に関する記憶は覚えやすい」といった記憶の特徴があります。こういった記憶の特徴を知り、それを活用することで、あなたの記憶する力はグーンと高まります。ぜひ、あなたの記憶の正体を知り、記憶とうまく付き合っていってください。

宇都出 雅巳 トレスペクト教育研究所代表・学習コンサルタント

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うつで まさみ / Masami Utsude

速読×記憶術を活用した勉強法の専門家。トレスペクト教育研究所代表。1967年生まれ。東京大学経済学部卒。出版社、コンサルティング会社勤務後、ニューヨーク大学に留学(MBA)。外資系銀行を経て、2002年に独立。30年以上にわたり、速読・記憶術を試験勉強に活用しながら実践研究を続け、独自の勉強法を確立した。多くの受験生を司法試験、医学部受験という難関試験で合格に導きながら、自らもCFP、行政書士、宅建士、50代で公認会計士、システム監査技術者試験などに合格。現在は監査法人に勤務。著書に『速読勉強術』(PHP文庫)、『どんな人でも1番結果が出る勉強法 合格は「あたりまえ化」の法則』(TAC出版)など。

 

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