紙メディアも蹴散らす、ネット報道の革命児 間もなく日本上陸、「ハフィントン・ポスト」の衝撃

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ただし、このやり方には批判もある。他サイトの記事を流用してまとめるというオリジナリティの欠如や、ジャーナリズムの正道からは離れているという指摘が多い。取材記事もリベラル寄りに振りすぎるとする見方も強い。

だが、すっかり定着した人気は、内容も気分も多彩で”盛りだくさんさ”を求める現代の人々に、「ハフィントン・ポスト」がうまく応えていることを証明している。

ジャーナリズムというよりは、ちょっと知的に見えながら、底流は大衆受けする路線そのもの。ハフィントンは、個人ブランドのメディアという新しいタイプのニュースサイトを作ってみせたと言えるのだ。誰も成功を収めていなかったオンライン・ニュースサイトの調合を、みごとに突き止めたのだ。

才能と機会を最大限に活用

ハフィントンは現在62歳。ギリシャで生まれ、イギリスで学び、アメリカに渡って成功を収めた。イギリスで恋人だった作家バーナード・レビンにジャーナリズムの手ほどきを受け、後に結婚した上院議員の夫マイケル・ハフィントンから(後に離婚)政治への道しるべを得た。

才能と機会を最大限利用しながら、政界やメディア界での力と人脈を蓄え、それでいて、ライフスタイルやリラックスできる仕事場のあり方、生活感を失わない毎日の過ごし方を説いて回るなど、人々の身の丈に合った感覚を失わない。

まさに硬軟併せ持つミックス・キャラクターの凄腕である。

 

瀧口 範子 ジャーナリスト

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たきぐち のりこ / Noriko Takiguchi

フリーランスの編集者・ジャーナリスト。シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、政治、文化、社会一般に関する記事を新聞、雑誌に幅広く寄稿する。著書に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか? 世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』『行動主義:レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家:伊東豊雄・観察記』、訳書に『ソフトウェアの達人たち:認知科学からのアプローチ』(テリー・ウィノグラード編著)、『独裁体制から民主主義へ:権力に対抗するための教科書』(ジーン・シャープ著)などがある。

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