日本株「戻り局面」では1万7900円超えが焦点 長期円高トレンドを考慮すれば上値は限定的
ドル円と日本株の上昇が顕著である。きっかけは8月26日の米ワイオミング州ジャクソンホールで開催された年次会合での米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の講演と、その内容を追認したフィッシャーFRB副議長の発言である。本欄も含め、これらについては詳細に説明がなされているため、ここではこれ以上は触れない。
この講演以降、市場は大きく転換しつつある。ドル円は100円割れのリスクから放れ、103円台にまで上昇してきた。日経平均株価も8月31日には1万6900円台をつけるまでに回復している。基調転換のきわめて重要なポイントまで株価は回復してきた。9月2日発表の8月の米雇用統計を待たずして上昇基調に入るのか、それともこれをきっかけに後戻りするのか、きわめて重要な局面にあることだけは確かである。
期待と希望が株価を押し上げる
日経平均株価のチャートを見ると、1万6900円台にふたつのポイントがあることがわかる。投資家であれば、もちろんお気づきであろう。ひとつは7月21日、もうひとつは8月12日である。このふたつのポイントがこれまで高値になっており、売買高も非常に多いとされている。そして、今回、とうとうこの水準にまで回復してきた。円安基調もあり、上値を試す素地が出来上がっている。いよいよ上昇局面に入りそうな、そんな雰囲気である。
円高による企業業績の悪化への懸念もあり、投資家も株価の戻りに対して疑心暗鬼であった。そのため、株式の購入は進んでいないようである。こうなると、1万7000円を超えると、一気に買いが膨らむ可能性がある。そうなれば、短期間で思わぬ高値が出てくることもあり得るだろう。
上昇し始めると、円安を理由に「現在のPERは割安」との見方が持ち出され、15倍程度が適切との声が上がり、「日経平均株価は1万7900円が適正水準」などの見方が出てきそうである。まして、「下げると日銀が買ってくれるから下がらない」との理解で、楽観的になっている。期待と希望が株価を押し上げるのだから、それはそれでよいだろう。
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