米利上げの意味は8年相場の終焉か新相場か 今週の日本株は買い先行、上値挑戦にも期待
注目されていたジャクソンホールでのイエレンFRB議長の講演内容は、予想どおりフィッシャーFRB副議長やアトランタ連銀のロックハート総裁のタカ派発言よりは穏やかなものだったが、追加利上げの条件が高まっていることが指摘され、年内利上げの可能性が大きく高まっている。
9月利上げの可能性も現実味を帯びてきた。この9月利上げのカギを握るのが、今週末9月2日に発表される米8月雇用統計だ。今週も株式市場は利上げタイミングを巡って神経質な攻防戦が続くと思われる。
なぜ2回目の利上げがこれほど注目されるかと言うと、この利上げで、リーマンショック以降8年間続いたアメリカ株の上昇相場がようやく終焉を迎えると言う相場観があるからだ。景気サイクルから言ってもこの連続上昇はイレギュラーだとはいえる。
独り勝ちとなった米国のシナリオ
過去のNYダウの上昇期間をみると、1942年6月のミッドウェー海戦勝利から国際連合、IMF発足といった国際秩序再構築相場でも5年、その後朝鮮戦争で始まりスエズ動乱(1956年10月)で終わった相場も上昇期間は7年だった。黄金の60年代と称される1958年―1965年(株価の天低で)の相場も8年間上昇だが、間のキューバ危機の短期下げで分断されている。
しかし、1987年10月のブラックマンデーの底値を出発点とする相場は、ベルリンの壁崩壊で独り勝ちになったアメリカの力で、日本のバブル崩壊後も上昇を続け、ユーロ導入までの12年の上昇相場だった。現在のアメリカは、当時の「独り勝ちのアメリカ」ほどの優位性はないが、世界が景気減速の混乱の中にあるのに、いち早くそれを抜け出して正常化の道を歩みつつある。
今回の2回目の利上げを、8年相場の終焉と決めつけるのはどうか。循環論から言うと、世界は高レベルの緩和策に支えられた金融相場だが、アメリカは業績(景気回復)相場に入るところ。景気回復相場では利上げが2回、3回、と続くが、並行して株価も上昇する。その意味ではこれから来る2回目の利上げは、景気回復相場の始まりとも言える。8年相場の終焉か、新しい相場の始まりか。180度違う議論はこれから佳境に入る。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら