日本株のモミ合い放れは「商い復調」次第だ

1日当たり2.5兆円台の売買代金がメドに

30日の日経平均は小幅反落。東証1部売買ランキングのトップはトヨタ自動車だった

8月の日経平均株価は1万6000円台半ばでもみあっている。日銀の上場投資信託(ETF)の買い入れ期待と米利上げ観測からの円高修正が下支えしているようだ。例年秋に商いが復調をみせるといわれるなか、9月の日本株の見通しを探ってみた。

日銀は7月29日、追加緩和策として年間購入額を3.3兆円から6兆円に増額した。1日あたり250億円程度(概算)の買い需要が期待され、日本株の下支え要因のひとつになった。8月上旬に株価指数連動型ETFを4回購入したのち(1日当たり527億円)、お盆休みで2週間止まっていた。25日と26日に707億円ずつ再始動している。ちなみに2016年4月以降の日銀の株価指数連動型ETFの推定コスト(購入した日の単純平均)は1万6266円(8月29日時点)。推定コストに近づいた局面で買い入れされている。

米利上げ示唆する発言と市場の反応

26日、米ジャクソンホールで経済シンポジウムが開かれた。ここでイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は「ここ数カ月で追加利上げの条件は整ってきた」と述べた。フィッシャー米FRB副議長も「早期利上げ」もしくは「複数利上げ」をにおわせる発言をした。市場では9月利上げの可能性も配慮すべき流れに変わりつつある。さらに、同シンポジウムで黒田日銀総裁は「現在のマイナス金利水準(マイナス0.1%)は、金利の下限制約からまだかなりの距離がある」と述べ、マイナス金利の深掘りが可能との考えを強調。あわせて量的・質的緩和の余地もあることを示した。

29日の東京市場では、ドル円が102円台前半まで円安方向に振れ、企業業績の悪化懸念がいったん後退。日経平均株価も1万6700円台まで大幅反発し、上げ幅は一時400円超に達した。

8月29日のNYダウは1万8502ドルと、4営業日ぶりに反発。イエレン米FRB議長の利上げ示唆の発言を受け、利ザヤ拡大期待から金融株が買われた。ただ、長期投資家の損益分岐点ともいえる200日線(約1万7500ドル)に対し、足元はプラス5.5%上回っている。週末の米雇用統計に向け、為替市場が大きく振れる場面も想定される。仮に急速なドル高が進んだ場合、高値圏で推移する米国株は利益確定売りに押されることもあろう。

30日の日経平均株価は1万6725円と、前日比12円安の小幅反落。東証1部売買代金も1.67兆円にとどまり、8月の1日当たり平均売買代金2.02兆円(30日時点)に届かなかった。戻りメドとして、3月月中平均や200日線のある1万6900~1万7100円が戻りメドとして意識されている。下値メドとして、日銀のETF買い入れ想定コストや75日線のある1万6200~1万6300円が想定される。

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