外国人投資家の動向が「1秒」でわかる方法 日本株が上がり続けるためには条件がある

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投資主体別の売買動向が公表されるのは、翌週の第4営業日の引け後になります。海外投資家が日々買い越しているかどうかのチェックは簡単ではありません。

そこで簡便法ですが、日々海外投資家が買い越しているかどうかをチェックする手段として、空売り比率を使います。日経新聞のマーケット欄に日々記載されているので、「1秒」でわかります。

大口の空売りを仕掛ける投資主体は明らかに海外投資家です。空売り比率がある一定の水準を超えて、高水準を維持している場合には海外投資家が売り越していると推定することは日々可能です。

空売り比率40%が株価騰落の分岐点と考えられます。年初から今日までの空売り比率の平均はちょうど40%です。40%以上であれば、海外投資家は売り越しており、株価が上昇することはありません。空売り比率が30%台であれば、海外投資家は買い越しているとの前提を置くことは可能です。海外投資家の買い越し=株価上昇であることは容易に想像できます。

今年に入ってから、8月19日までで33週を経過しましたが、そのうち海外投資家がわずかでも買い越した週は全体の3分の1にあたる11週しかありません。ここでは現物と先物の合計で500億円以上買い越した週の状況をチェックしてみます。

海外投資家が買い越した週のランキング

                 買い越し額      騰落幅   空売り比率
 ~7/15  10005億円  +1390円    39.5%
 ~4/22    9032            + 724                35.5
 ~4/15    6765            +1026               38.3
   ~4/28    1364            - 906               37.5
   ~5/20      908             + 324               38.2
   ~5/27      810               + 98               38.8
 ~7/22      765     + 129        37.8

 

そもそも500億円以上買い越した週は7週しかない上に、その7週は4月(15・22・28)、5月(20・27)、7月(15・22)に集中して連続しています。上記の表で4/28の週だけ下落していますが、これは前の2週で1750円急騰した上に4/28の日銀金融政策決定会合で追加緩和期待に反して、ゼロ回答であったことによるもので、特殊な条件が重なったためです。

9月9日、16日の週には株価が大きく振れる可能性も

海外投資家が買い越すときには法則性があり、空売り比率(5日移動平均)は30%台で、40%を超えている時には海外投資家が日本株を買い越すことはありません。前週も連日空売り比率は40%を超えていました。すなわち、海外投資家は前週も、売り越していることが推定されます。

足元で変動率が大きく低下、売買代金も2兆円に達しないなど、閑散小動きの相場が続いていますが、このような現象の後には株価が上下に大きく振れることはよくあることです。タイミング的には9月2日の米国雇用統計の後で、日銀金融政策決定会合の1~2週前、即ち、9月5日~9日、9月12日~16日の週は大きく株価が振れる可能性があります。ただし、それもせいぜい1~2週の株価の動きで終わってしまうということに注意が必要です。

日本株の上昇が持続しないわけは継続しない“外国人買い”が要因です。

荒野 浩 マーケット・アナリスト

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あらの ひろし

あらの ひろし 1971年日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社後、調査部でアナリスト業務に従事。米国勤務を挟み一貫して、日本株の情報・市場分析を行う。1996年に朝日投信委託(現みずほ投信投資顧問)に転籍、調査部長・運用部長を経て、常務取締役投信運用本部長を歴任。 2012年に退職。その後はTV,ラジオ出演などで活動。日本株を中心とした市場分析の経験は約45年に及ぶ。投資Salon「荒野浩のテクニカル・ルームから」は、独立系アナリストのメルマガとして、国内最大規模を誇る。

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