元トランプ選挙参謀を囲む「黒い簿帳」の衝撃 ウクライナ前政権と懇意だった米国人の正体

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ウクライナでは「黒い帳簿」として知られるこの文書は、以前の地域党本部の3階にあった帳簿の一部で、悪筆のキリル文字で書かれた400ページほどのものだ。同じ部屋には、100ドル紙幣が詰まった金庫が二つあったと、タラス・V・チョルノビルは言う。彼は地域党の元幹部で、時にその現金を受け取っていた人物だ。チョルノビルはインタビューに答えて、欧州に行くために1万ドルを受け取ったことがあると話した。

「あれはわれわれのカネだった」と彼は言い、彼が地域党を離れたのは、簿外の活動についての懸念があったことが一因だと話した。「テーブルには現金が積まれていた。そして、それを誰に払うかのリストもあった」。

マナフォートは5年間で22回文書に登場

帳簿を入手した汚職対策局の声明によると、マナフォートの名前は5年間で22回文書に登場し、支払額は合計で1270万ドルとなったという。支払いの目的は不明で、その結果も不明だ。手書きの記載は銀行の記録と照合することができず、受取人のサインもまだ確認されていないからだ。「ポール・マナフォートは、いわゆる『地域党のブラック・アカウント』のリストに載っていた名前の一つで、汚職対策局はこのリストについて調査を進めている。ただし、マナフォートの名前がこのリストに載っていたからといって、彼が実際にお金を受け取ったとは限らない。なぜならば、受取人の欄にあったサインは別人のものかもしれないからだ」。

この帳簿の記録は今年浮上してきた。議員のセルヒー・A・レスチェンコが、ある情報提供者から一部のコピーを受け取り、合計で6600万ドルにのぼる2012年の6カ月分の項目を公表したのだ。レスチェンコはインタビューに答えて、別の情報提供者が複数年分の帳簿全体をビクトール・M・トレパックに渡したと話した。トレパックは国内情報機関の元副長官で、彼がその帳簿を国家汚職対策局に提供した。

米国と欧州連合による援助プログラムの取り決めで、汚職対策局の資金は政府が提供することが義務付けられており、同局はFBIとの間で証拠共有の合意を結んでいる。汚職対策局は、捜査権限は持つが被疑者を告発することはできない。発見した事実を検事局に引き渡すと(マナフォートの件では、それは行われていない)、ようやくそれが刑事事件となる。

ウクライナで仕事をする中で、マナフォートはビジネスの案件も手掛けたが、それらの案件では政治のコンサルティングで手に入れたコネが活用された。そのうちの一つは、海外企業のネットワークが絡むものだった。政府の調査官やウクライナのフリージャーナリストによると、そうした海外企業は、政府の取り巻きの人たちが盗んだ公金や公的資産を「洗浄」するために使われていたという。

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