親に頼りたい依存的な気持ちを抱えたままだと、自分のことを棚に上げて親にすべての責任があるような感覚にもなります。実際にその状況を作ったのは家庭環境であることは否めないのですが、そこから自立する強さと柔軟性は、子ども自身が持たなければならないものです。
まあそうは言っても、簡単に割り切れるものではありません。親子関係が厳然としてあるので、気持ちはつねに揺れ動き続けます。ですからまずは、親が聖人君主でも完璧でもなく、一人の人間でしかないと認識すること。難しいとは思いますが、ここが肝心です。
ハードルはまだあります。いかに不完全な親であっても、子どもは「親に認めてもらいたい」という気持ちがあります。親の承認が得られなかったときのやるせない気持ちを考えると、なんとか親に認めてもらいたいという思いから、つい、親の理想を追ってしまうことになりがちです。兄弟や比べられる人がそばにいる場合は、特に顕著でしょう。
親の理想どおりに人生を歩むことは出来ない
また、育ててもらったという気持ちがある子どもにとって、親は敬うべき存在であり、抵抗することに少なからず罪悪感を持ってしまうことも多く見受けられます。ゆえに、自分の気持ちを抑え、両親の期待と満足のために言動を考えることもよくあります。
しかし、いくら自己犠牲を払っても、親の高い理想どおりに人生を歩むことは、残念ながらなかなか出来ないのです。加えて本人が不自由さを感じている以上は、親への申し訳なさを理由に支配されることなく、自分の道を行く必要があります。
親子関係でいつも同じような会話のパターンに陥り、いやな思いを抱えるという方は、その心理的ループを断ち切ることが必要です。その時に大切にするのは、自分の思いです。自分の価値観を自分で把握し、親と必ずしも同じではないと自覚することが、何よりも大切なプロセスになります。
親に描かれた世界の中に幸せはなく、現実の中に本質があるのですから。
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