「石巻2.0」が挑む、復興3年目のまちづくり

死者3000人超、最大被災地・石巻で奮闘する集団

人々は、いつしか郊外の大型ショッピングセンターに買い物に行くようになり、町中は空洞化してシャッター街と化す。若者はさびれた街に嫌気がさして都会に出る。これは地方が持つ共通の問題だ。この根本を変えなければ、過疎化に歯止めはかからない。大震災でかぶった「ヘドロ」を除去して建物を元通りに直しても、問題は解決しないのだ。

「旧市街地を元気にするのが重要だ」

「街の再生の道筋を作れば、それが他の地方都市の未来にもつながる」

「元に戻すのではなく、風通しのよい新しい街に変えることが重要だ」

このような共通の思いから設立された団体が石巻2.0である。ちなみに2.0という名称には、従来からのバージョンアップの他に、一時期もてはやされた「web 2.0」と同じく、「双方向性を備えた=風通しがいい」という意味が込められている。

 この2年間で、できることを精いっぱいやってきた

彼らが初めに着手したのは、石巻の今を伝えるフリーペーパー「VOICE」の創刊である。地域のキーパーソンのインタビューのほか、地域の歴史についての解説も掲載した。創刊準備号であるVol.0は東京都内のカフェなどにも置かれ、かなり評判となった(2013年3月現在、Vol.3まで発行されている)。

次に、石巻の夏の最大のイベント、8月の「川開き祭り」(大花火大会)を盛り上げた。川開き前の一週間を「Stand Up Week」と名付け、屋台を出し、野外映画上映会を行い、著名なミュージシャンによる野外ライブを行うなど、地域の商店街とともに活動した。その後も石巻2.0の周辺では、さまざまなプロジェクトが生まれている。以下は関連プロジェクトの一部だ。

■グッドデザイン賞ベスト100に選ばれた「石巻工房」

石巻2.0とは独立しているが、いってみれば、双子の姉妹のようなプロジェクトだ。震災直後、人々の間では、あらゆる生活用品が不足していた。家が残っても、家具は流されたり、破壊されてしまっていた。

そこでメンバーの建築家が中心となり、「地域のものづくりのための場をつくろう」と設立されたのが石巻工房である。当初は「材料と道具と場所を提供すれば、人々が必要なものを作ってくれるのでは?」というコンセプトだったが、やってみると、完成品を求める声が多く、現在は木製家具の制作・販売が業務の中心となっている。その価格の安さと丈夫さ、シンプルなデザインが評判を呼び、地元だけでなく、全国各地からオーダーが入る。雇用創出も見すえたプロジェクトであり、2012年度グッドデザイン賞のベスト100にも選ばれた。

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