「石巻2.0」が挑む、復興3年目のまちづくり

死者3000人超、最大被災地・石巻で奮闘する集団

2年経過した現在では、一部に車が積み上げられた場所があるものの、多くの場所は表面上は「きれい」になっている。単に片付けが終わったというだけでなく、市が全半壊の建物を対象に無料で解体作業を行っているため、地権者の多くが取壊しを選択したのだ。風情のある建物の多くは消えて空き地となり、鉄筋の建物ばかり残っている。街を歩く人は少ない。何も知らずに現在の街を見れば、単に「過疎化が進んだ、コンクリートの空き地が多い街」としか映らないかもしれない。

「元に戻す」のではなく「変える」~石巻2.0~

 
さまざまな人が集う「IRORI」。石巻2.0が、被災したガレージをリノベーションした

そのような寂しい旧市街地の中で、つねに活気にあふれているのがアイトピア通りの「IRORI」である。いわゆる「ビジネスカフェ」的なフリースペースで、ボランティアで訪れた人、取材で訪れた人、そして地元の商店街の店主達が町の様子について語り合ったり、無線LANに接続し調べものをする「憩いの場」となっている。

何やら「東北の地方都市=閉鎖的」というイメージとは似つかわしくない洒落たスペースだが、元はといえば被災したガレージ。まちづくり集団「石巻2.0」によってリノベーションされた物件である。ここにいる常駐スタッフは、震災後に首都圏から移住してきた、石巻2.0のメンバーたちだ。

石巻2.0はいわゆる「復興支援」を標榜する団体ではない(実際にはさまざまな支援活動も展開している)。が、その起源が震災後の復興支援活動にあるのは確かである。

その成り立ちは、こんな具合だ。震災直後、石巻には全国からボランティアスタッフが駆けつけた。そんな中、旧市街地で作業していた首都圏の広告代理店のクリエイター、建築・設計分野のエキスパートらが、地元の有志と出会った。打ち解けて話しだすと、石巻が「典型的な地方都市の問題」を抱えてきた街であるという話題になった。

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