「石巻2.0」が挑む、復興3年目のまちづくり 死者3000人超、最大被災地・石巻で奮闘する集団

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これらのプロジェクトに関わるメンバーは、必ずしも固定されてはいない。また、上記のすべてが厳密に「石巻2.0メンバーによるプロジェクト」であるわけでもない。さまざまなメンバーが集い、得意分野で協力し、アメーバのように増殖しており、実際のところ、どこまでがメンバーなのかわからないような状況となっている。その意味では、石巻2.0というのは単なる団体名ではなく、「運動の名称」と考えても良いのかもしれない。

いしのまき学校プロジェクトで、世界の知見を石巻に

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慶應とのコラボ。最先端の問題解決アプローチ法を使って、石巻の再生に取り組む

現在、石巻2.0が力を入れているのは「いしのまき学校」というコンセプトである。被災後、石巻には各界の著名人、識者が訪れるようになり、都市設計を学ぶ学生たちも数多く出入りするようになった。この機会を無駄にせず、彼らが持つ知見を皆で学べる場を設けようというものだ。

地元の若者に刺激を与えるきっかけを作るだけでなく、「いしのまき学校」の存在そのものが、人を呼び込むきっかけとなるかもしれない。そして、人が集まれば街は活性化していくはずだ。すでに、以下のようなプロジェクトを実施している。

■MACHIZUKURI 2.0

この1月に、2日間に渡って行われた。慶應大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科による最先端の問題解決アプローチ方法を、実践形式で学ぶというイベントだ(上、冒頭の写真)。現場を視察し、ワークショップを行い、フィードバックを得る。大学側にとっても貴重な実習の場となるわけだ。

設立以来、目まぐるしく生まれる新しいコンセプトやプロジェクト。その指揮をとる松村豪太氏は、夜は「復興バー」のマスターでもあり、休む間もなく活動を続けている。今後もさまざまな「いしのまき学校プロジェクト」を予定しているという。

「まだまだ人手不足だから、至らない点もある。新しいことを始める際は、さまざまなしがらみで難しいこともある。だが、丁寧に説明し、敷居を低くして、地域内外のみんなが参加できるように間口を広げていきたい。視察ツアーや修学旅行の受け入れなどもしながら、知見を石巻に集め、そこで出た新しいアイデアを世界に向けて発信していきたい」(松村代表)。

多くの団体が「現在の住民の生活支援」を最優先して活動する中で、石巻2.0は、いま、未来の石巻を作るフェーズ(段階)に移行しようとしている。

姉歯 康 ジャーナリスト

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あねは やすし

宮城県石巻市出身。ソフトバンク(株)でMac雑誌の編集者を経験後、IT系のライターとして活動、同時にソフトウェア開発現場に身を置く。現在は仙台に本社を構えるIT企業(株)フォーレストの開発統括本部に所属し、地元の活性化について画策している。著書に「QuickTime GuideBook」(ビー・エヌ・エヌ新社)、共著書:「インターネットストリーミングブック」(翔泳社)、訳書:「インナーゲーム オブ ストレス」(日刊スポーツ出版社)など。

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