「石巻2.0」が挑む、復興3年目のまちづくり 死者3000人超、最大被災地・石巻で奮闘する集団
■ITを戦略的に身につける「イトナブ」
イトナブとは、「IT、営む、学ぶ」を組み合わせた造語である。石巻にはIT企業が少なく、若者がITに触れる機会も少ない。だが、本来、地理的なハンディを乗り越えられるのがITの利点のはずだ。IT産業を活性化し、地域産業と組み合わせることで、新しい雇用が生まれる可能性もある。そこで立ち上がったプロジェクトが「イトナブ」である。Googleの支援によって、ネットを通じてプログラミングを学べる「東北TECH道場」を行ったり、ヤフーの協力を得てソフトウェア開発イベントを行うなどしている。
■復興民泊
当時、地域のほとんど全てのホテルや旅館が津波の被害で休業に追い込まれたため、石巻を訪れたボランティアの宿泊場所が不足していた。そこで2.0スタッフが目をつけたのは、被災後、使われなくなった店舗の2階など。家主に了解をとった上で、自分たちの手でリノベーションし、簡易ゲストハウスを仕立てた。営業として行っているのではなく、新しい人の流れをつくるのが狙いだ。8月の川開き祭りなど、人が集まる際には予約が困難な状態となる。
■復興バー
被災した店を自分達で改装してバーに仕立て上げた。何度も石巻に足を運ぶボランティアの中には、復興バーでの出会いを楽しみとしている人達もいる。マスターは石巻2.0代表の松村豪太氏だ。
■手作りCMプロジェクト
市内の商店などを取材し、音楽・アニメーションを絡めたCMを作るプロジェクト。CM作りによって店の復興を支援しようというプロジェクトであり、テレビでも取り上げられた。
■コミュニティカフェ・かめ七
老舗「かめ七呉服店」の店主が保存していた懐しい雑誌2000点を整理し、家具を整備して作ったコミュニティカフェ。日本雑誌協会の協力により、iPadで最新のデジタル雑誌も読めるようになっている。
いずれも、「すでにある場所や素材などを用いて、使い方やデザインを変えることで新たな価値を生み出す」というコンセプトで運営されているものと言える。上記のほかにも、各種イベント、セミナーなどを開催し、地域に新しい風を吹かせようとしている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら