もちろんこの心理操作術を応用している選手は、彼だけではない。日本代表の細貝萌(独レバークーゼン)は、試合中にミスを犯した後の気持ちの切り替えに「パーキング」を使っている。
もともと細貝は繊細なタイプで、ミスをした後に心理的ショックを引きずってしまうのが課題の1つだった。いったい、どうすれば気持ちをうまく切り替えられるのか? そんな悩みを抱えていたとき、対処法を教えてくれたのが松本大学でスポーツ心理学を教える齊藤茂だった。
齊藤がアドバイスしたのは、次のようなことだ。
「ミスは頭の中の駐車場に一時停車しておいて、目の前のプレーに集中しよう。反省や修正は、試合が終わった後に好きなだけやればいい」
パーキングの技術は仕事にも応用できる
細貝はこれを辛抱強く実践して、見事に課題を克服した。
『Number(771号)』に掲載された細貝のインタビュー記事の中で、こんなメールが紹介されている。細貝が齊藤に宛てたメールだ。
「自分のファールから失点し、とにかく1度駐めておこうと、パーキングを使いました。試合で使ったのははじめてです。すぐには出てこなくて、失点して少し経ってから思い出しました。もう少し早めに、自然に使えれば、もっとうまく切り替えられた気もします」
この「パーキング」の技術は、仕事場にも応用できるだろう。上司に何か言われて腹が立ったとしても、専用の駐車場にしまっておけば、感情をコントロールできる。仕事のミスが頭から離れないときも、駐車場に押し込んでしまえばいい。
考えるべきでないときに、いくら熟考してもプラスにはならない。頭の中にいろいろな引き出しを作っておいて、必要ないときはそこにしまい込んでおけばよいだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら