欧州で燻る政治リスク 一見、小康状態も、今秋に向けて正念場は続く

拡大
縮小

高失業率に不満の声

昨年、ユーロ圏主要国は軒並みマイナス成長に陥った。今年も多くはマイナス成長で、曲がりなりにもプラス成長を維持しているドイツとの格差は開くばかりだ(下図)。

フランスは2月初旬までのユーロ高進行に神経をとがらせ、G7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)でも日本の新政権の円安誘導を強く批判した。競争力でドイツとの格差が開いているうえ、財政悪化も続き、昨年、格付けも引き下げられた(下表)。経済規模3位、4位のイタリア、スペインが危機に見舞われる中、支え手であった2位のフランスがトリプルAの座から転落した影響は大きい。発言力はメルケル・サルコジ時代に比べて低下。一方で、左翼政権が復帰したにもかかわらず、失業率は悪化し、デモやストが絶えないなど国民の不満は高まっている。

さらに、ドイツと並ぶ優等生と目されてきた経済規模5位のオランダの調子も悪い。住宅ブームが崩壊し、調整が続いているのだ。

ニッセイ基礎研究所の伊藤さゆり主席研究員は、EU委員会が発表した景気循環調整後の基礎的財政収支の見通しに注目。対GDP比では「オランダは12年にマイナス0・5%から13年にはプラス0.5%へ、フランスはマイナス0.7%からプラス0.6%へ大幅に改善させる。一方のドイツは2.6%の黒字から2.8%の黒字になるだけ。財政緊縮の差で、景気に及ぼす影響も大きく異なる」と指摘する。

「財政危機と金融危機の負の連鎖を断ち切る仕組みは、ECBやESMで整備されたが、財政緊縮と景気悪化の相互作用は断ち切られていない」(伊藤氏)

ドイツ独り勝ちで格差が拡大する構図の中で、失業率が高止まりしている南欧諸国の政治的爆発は回避できるか──。9月のドイツ総選挙に向けて、欧州の政治リスクはくすぶっている。

(週刊東洋経済2013年3月16日号)

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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