スペインにも火種
政治リスクを抱えているのは、イタリアばかりではない。
スペインは財政再建に取り組んでいるラホイ首相を含む政権幹部に不正資金疑惑が浮上。司法当局が捜査の対象としている。ラホイ政権の求心力は低下しており、万が一、解散・総選挙といった事態になれば、安定政権の樹立は困難となる。
4月にはキプロス政府の財政資金が枯渇する見通し。キプロスは、金融業への依存度が高く、銀行が不良債権を抱える。ユーロ圏財務省会合は、3月末までに同国を支援する合意を目指しているが、関係の深いロシアからの資金が多く、マネーロンダリングに関与しているとの疑惑もあり、協議は難航している。「小国とはいえギリシャとの関係も深く、デフォルトを起こせば、ギリシャへのドミノのおそれがある」(第一生命経済研究所の田中氏)。
こうしたリスク要因を抱えながらも、現状、金融市場が安定しているのには、大きく二つの理由がある。
一つは、いわゆる「ドラギマジック」。ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が昨夏、ユーロ防衛のために無制限に国債を買い支える、と表明したことが効いている。
ただ、この新たな支援策(OMT)を受けるには、ESM(欧州安定メカニズム)を通じ、財政緊縮などの厳しい条件を課される。そのため、最初に駆け込むと想定されていたスペインも支援を申請していない。結局は、南欧の債務国は財政再建に取り組まざるをえない。抜かずの宝刀の威力である。
混乱に陥っていないもう一つの理由は、EU(欧州連合)首脳が昨年、成長への配慮から厳しい財政再建路線をやや緩める方向で合意し、舵を切ったことである。債務国の国民を追い込めば、かえって、ユーロ離脱などの選択肢が浮上する。追い込まなければ、ユーロ残留のために努力するだろう──。ギリシャをめぐる騒動の教訓である。
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