「冴えない相場」は参加者に気概がないからだ 政府・日銀頼みを止めて自らリスクを取ろう
次に、株式市況の全体観ではなく、最近の個別の物色動向をみてみよう。このところ、外需系の大型株の株価が相対的に反転上昇をみせている。そうした物色の背景に、日銀がETFを買うため、これまで安値に放置されてきた輸出大型株も株価が持ち上がるのではないか、という思惑があるのかもしれない。
あるいは、日銀がTOPIX型のETFを買うのであれば、TOPIX指数に影響の大きい大型株(時価総額が大きい株)が動く、という観測もありうる。こうした「日銀思惑」だけが買いの理由であれば、前述の全体的な相場付きと並び、情けないことだと言わざるをえない。
しかし、そうした日銀に対する思惑ではなく、投資家が積極的にリスクを取って輸出大型株を買うという動きの始まりであれば光明だ。これまで輸出大型株は「円高が怖い」「海外経済の悪化が怖い」といった懸念から、いくら株価が下がってPERが低下しても、ほったらかしにされてきた。
外需銘柄への前向き投資に期待
つまり、それなりに堅調な企業収益実態が無視され、心理的な恐怖感が勝っていたわけだ。これが、不安に打ち勝ち、確固たる信念を持って、実態のよい銘柄に投資しよう、という好ましい投資行動に転じ始めたと、期待したいところだ。
19日(金)は、外需の代表選手である機械、電気機器、造船、自動車、精密機器といった業種について、円相場が1ドル100円絡みの推移を続けているにもかかわらず株価が上昇している。また、国際商品市況絡みの鉱業株が上昇するとともに、世界の貿易量との関係が深い商社や海運も株価が堅調で、日揮、千代田化工建設のような、石油プラント関連株も物色されていた。
ひところのような、世界経済全般に不安がささやかれ、それを受けて国際商品市況の下落が懸念されていたときとは、様変わりだ。こうした物色の変化が、投資家の前向きな投資行動によるものだと信じたい。
今週(22日~26日)の相場動向だが、国内外ともに材料が極めて乏しい。米国の株式市況も割高さと米国経済環境の堅調さに挟まれて、高水準ながら大きな上下動は見込みにくい。26日はジャクソンホールにおけるイエレン米FRB議長の講演が控えているが、今週の国内株式市場が引けてからのことだ。このため、円相場も国内株式市況も動きが小さい展開となるだろう。日経平均株価のレンジは1万6400~1万6800円を予想する。
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