「冴えない相場」は参加者に気概がないからだ 政府・日銀頼みを止めて自らリスクを取ろう
実業界、企業の経営者は、「景気刺激策も円安誘導もいらない。どんなに逆境でも自助努力により自社の製品・サービスの魅力を向上させる。それによって売り上げ・利益を増大しつつ、前向きな事業展開を図るため賃金をどんどん上げて優秀な人材を集め、設備投資もどんどん増額する」と言ったらどうか。
投資家も「早く株価が上がるような政策くれくれ」ではさびしい。政策発動がなくとも、企業収益に比べ、いたずらな恐怖から安値に放置された銘柄は多々あるのだから、企業実態に基づき長期的な投資スタンスで、目先のリスクをおかして有望な株式を買い上げていったらよい。
企業を応援する太っ腹な投資家も必要
筆者が特に暗い気持ちになったのは、ソフトバンクが7月に英ARM社を買収すると発表したことを受けて、同社の株価が大きく下落したことだ。この買収案件そのものは、大失敗かもしれない。3.3兆円に上る買収案件だが、日本電産の永守会長が言ったように、「3300億円でも買わない」という判断の方が妥当な可能性もある。
しかし、「失敗してもいいじゃないか、やってみなはれ」「失敗して株価が大幅に下落しても、次々とチャレンジしてくれ、応援するぞ」と、ソフトバンクの株を大いに買い入れる意気を示すといった、お大尽的で太っ腹の投資家はいないのだな、と感じられた。
まあ、今の投資家は汲々として、そんな余裕はないのだろう。投資家にみな余裕がなければ、それにふさわしい株式市場に堕してしまう(なお、足元はソフトバンクの株価は上昇しているが、これは日銀の日経平均連動型ETF買い入れ期待に伴うものだと推察される)。
もちろん一部には、志のある政策当局者、企業経営者、証券関係者、投資家も少なくないだろうが、足元の株式市況をみていると、特に米国など他国に比べ、気概のなさが色濃く反映されているように感じてしまう。
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