日本株「9月まで上値を探り調整」と読む理由 消去法で買われてきた内需系に「くたびれ」感

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日銀のETF買い増し発表に対して冷淡だった市場。9月の会合後はどうだろう(写真:ロイター/アフロ)

7月28日(木)~29日(金)の日銀の金融政策決定会合で、株式ETFの買い増しが打ち出され、8月2日(火)には経済対策が正式に公表された。経済対策公表直後には、麻生財務相と黒田総裁の会談が急遽開催され、その後記者会見も行われた。しかしそうした動きに対して、市場は日本株安・円高気味で応じ、極めて冷淡な反応だった。

もちろん、政策の足りない点は多く挙げられる。追加緩和については、株式ETFの買い増しと米ドルの調達支援以外、今回はほとんど何もなかった。政府の経済政策についても、総事業規模は28.1兆円に上るが、9月からの臨時国会で決定する第二次補正予算自体は4.5兆円にとどまる。政府系金融機関の融資や次年度以降の支出を詰め込み見かけ上の規模を水増ししている、との批判は妥当だろう。

とは言っても、金融政策も財政政策も、やらないよりはやる方が景気にとって「まし」なはずで、市場の反応はあまりにも冷淡に過ぎる。対策が期待ほどの内容ではなかったので、市場が失望したとの見解も聞こえるが、失望に応当する期待、すなわち事前の株高も円安も空振りで失望だけがある、というのは腑に落ちない。

当面はドル高・円安への戻りがある

なお、日銀は9月20日(火)~21日(水)開催の次回の金融政策決定会合で、これまでの金融政策を総括する、と発表した。これまで2%のインフレ目標が達成されていない点について、振り返りが行なわれるものと見込まれる。通常であれば、これまでの政策の反省を踏まえて、新たに追加緩和策が打たれるとみるべきだろう。しかし、特に債券市場では、インフレ目標達成はもう無理だと日銀が白旗を上げ、今後の手をまったく打たないかのような観測が広がった。これは行き過ぎといえる。

もともと日銀の金融政策だけで、長年苦しんだデフレ経済を一気に脱却できるはずはない。つまり金融政策の限界は最初から(2013年4月の異次元の緩和発動時から)あったわけで、いまさら限界があると騒ぐのは的外れだ。むしろ9月に金融政策を総括すると発表されたことで、株価の上昇期待が延命され、株価のピークが後ずれしたと考えている。

すなわち、これまで筆者は、株式相場の展開については、7月追加緩和→8月経済対策発表といった形で、政策要因が一巡してしまい、8月をピークとして株価はいったん調整に入ると予想していた。しかし、8月経済対策発表→9月追加緩和ということになり、政策の一巡感が広がるのが9月下旬辺りになると見込まれるわけだ。

なお、為替市場においては、当面は米ドル高・円安への戻りがあり、それがやはり日本株を支えると見込む。しかし、11月の米大統領・議会選挙に向けて米国では内向きの空気が広がり、自国通貨安を志向しているとの思惑が広がりかねない。また日銀の9月の追加緩和で金融政策が一巡したとみなされれば、これも円高に力を貸そう。こうした為替市場の動向も、9月まで日本の株価が上値を探ったとしても、その後いったん株価調整に陥るという見通しの背景にある。

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