日本株「9月まで上値を探り調整」と読む理由 消去法で買われてきた内需系に「くたびれ」感
4~6月期の企業決算発表がかなり進み、社数でほぼ3分の2の会社が発表を終えた。今のところ、4~6月は2割程度の減益の模様で、減益要因としては円高や新興諸国の需要不振が挙げられる。決算実績は外需企業劣位の状況で、東証1部全体の企業利益の押し下げにネガティブに効いている業種には、電機、自動車といった、典型的な輸出企業が並ぶ。
しかし、安川電機、ミネベア、トヨタなどへの反応をみると、そうした悪材料はすでに知っているとして、むしろ株価が上昇する局面がみられた。また日本電産、信越化学など、個別に収益が堅調な企業群については、積極的に物色していこうとの意欲も見られた。
こうした外需企業の株価の堅調さに対して、内需系の株価がくたびれてきている。この背景には、消費者心理に陰りが生じ、消費者の低価格志向が再度強まっていることや、海外からの訪日観光客数は伸びているものの、一人あたりの旅行支出額が減少しており、インバウンド消費の増加にブレーキがかかったことがある。加えて7月の月次売り上げが不振な小売業があり、特にアダストリアや良品計画などの株価が反落した。
米国発の支援材料に頼らざるをえない
こうした外需系と内需系の株価動向の明暗は、それぞれの企業群の収益変化だけではなく、別の要因も無視できないと考える。すなわち、これまで海外発の不安材料が多かったため、割安になった外需系企業への投資が顧みられず、消去法的に内需系の銘柄が割高になっても買われ続けていた。この反動がとうとう生じた、という面が大きいのだろう。
このところ国内株価は膠着状況が続き、1万7000円が遠く感じられる事態だった。それは、前述のような金融・財政政策に対する市場の冷淡さもあったし、企業収益実態が足元は冴えず、とは言いながらも外需系銘柄が悪材料出尽くしとして物色されても、一方で内需系企業の株価が暗転した、といったこともあった。
こうした膠着状況を打破する材料は、残念ながら国内から大きく立ち上がっては来にくいようだ。8月5日の7月米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比で25.5万人増と堅調な伸びを示した。先般のFOMC声明で指摘されていたように、雇用が5月の低迷を越えて伸びを高めている、という勢いの持続が確認された。これが良い長期金利上昇とともに、米株高、結果としての米ドル高を招いて、シカゴの日経平均先物も押し上げられた。
今後も日本株は、こうした米国発の支援材料に頼らざるを得ないのだろう。今週は、この米国頼みの市況好転が持続すると見込み、日経平均株価のレンジは、1万6200円~1万7100円を予想する。
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