夏枯れ相場に立ちはだかる1万7000円のカベ 米国株一服、円高加速なら「スピード調整」も
8月の日経平均株価は一時1万6900円台まで戻りを強めていたものの、薄商いが続くなかで上値が重くなりつつある。テクニカル面からみるといったんの戻りメドに近づいており、夏枯れ相場のスピード調整にも備えておきたい。
内閣府が発表した4-6月期国内総生産(GDP)1次速報値はインパクトに欠けた。物価の変動を除いた実質GDPはプラス0.048%とほぼ横ばい、年率換算ではプラス0.2%にとどまった。
相変わらず力強さに欠ける個人消費
GDPの過半を占める「個人消費」は2四半期連続で増加したものの、衣類や食料品の動きが鈍い。「設備投資」は2四半期連続でマイナス、「外需」も鉄鋼製品などの輸出が減少した。円高の影響で外国人旅行者の支出もしぼみ、GDPを0.3ポイント押し下げた。一方、「住宅投資」は前期比プラス5.0%と明るい兆しもみえ、日銀のマイナス金利政策による住宅ローンの引き下げが後押ししたようだ。官房長官は「緩やかな回復基調が続いている」と述べた一方で、麻生副総理兼財務大臣は「個人消費は力強さを欠いている。経済対策を踏まえて中長期的な対策と構造改革に力を入れていかなければならない」と指摘した。
足元(2016年6月)の雇用者数は5740万人と42カ月連続増加、完全失業者数は210万人と73カ月連続減少、完全失業率(季節調整値)は3.1%とほぼ完全雇用の状態が続く。見た目の数字では雇用や賃金も徐々に改善している。しかし、世代別でみると20~30代が可処分所得に占める消費の割合が極端に低い。子育てや教育への支出が重くのしかかり、安定収入や老後資金の確保など将来に対する不安感が高いことがうかがえる。
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