「串カツ田中」創業7年で上場する酒場の正体

老若男女、子どもにも愛されるB級グルメ

提供する商品について気取ってはいない。串カツを、大阪の「伝統的なB級グルメ」と呼び、料理の職人抜きでも運営できる店舗を志向した。また、価格帯も低く設定することで、高級路線ではなく、ファミリー層も開拓している。

なお、直近本決算である2015年11月期の決算状況は次のとおりだ。

売上高 25.1億円
粗利益 16.1億円(売上高比64%)
営業利益 2.0億円(同8%)
経常利益 2.6億円(同10%)

 

外食企業として収益力は高く、客単価は2400円程度となるように価格設定されている。ポイントは店舗でクレジットカードが原則使えないこと。つねに現金が回る財務体質になっている。

直近の5月末の四半期貸借対照表を見てみよう。

流動負債 7.7億円
流動資産 10.9億円

 

1年以内に支払わないといけない流動負債と、1年以内に現金化できる流動資産から計算される流動比率(流動資産÷流動負債)は141%となっている。これが高いほど支払い能力に優れる。法人企業統計によれば、類似の「飲食サービス業」における日本企業の平均値は、売上高営業利益率2.5%、経常利益率2.3%、流動比率79.6%。串カツ田中の収益力や財務の安定性は、業界平均を優に上回っている。

居酒屋とネオ酒場

居酒屋という名前には、ややビジネスパーソンの匂いがつきまとう。人によっては、「年長者」「オヤジ」「会社の同僚との打ち上げ」のイメージを持つ場合もある。対して今の若い世代は、気軽にさっとおしゃれに飲みたいと考えている。居酒屋チェーンが苦戦する中、家飲み需要は伸びている。コンビニエンスストアで売られるチューハイは、まるで美容飲料のようになり、それに付随するようにナッツやドライフルーツも売れている。

そのような中、居酒屋系の外食店で人気なのが「ネオ酒場」だといわれている。串カツ田中もまさに、このネオ酒場に当てはまる。ふらっと立ち寄れるカジュアルさ、ならびに家族連れでも入れる端正さ。オープンな雰囲気で、外国人旅行者などのインバウンド需要をつかむことにも成功している。さらに、地域や店舗ごとに特徴のある品も提供している。

宝酒造は、このネオ酒場に向かう20~30代までをターゲットに、その名もズバリ「ネオ酒場サワー」を発売した。

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