気仙沼市立本吉病院、乗り越えた存続危機 大震災から2年、入院患者受け入れ再開へ

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仮設住宅での医療支援活動も

本吉病院は、市内の仮設住宅の住民への医療支援活動にも力を入れている。

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仮設住宅での医療支援活動も注力

その土台を作ったのは、震災直後から気仙沼市で医療支援を粘り強く続けてきた古屋聡・山梨市立牧丘病院院長だ。

そして、地元在住ボランティアの村上充氏のコーディネートで、旧気仙沼市内や唐桑地区の仮設住宅を全国各地からの応援医師が訪問し、住民の健康相談に応じている。

インフルエンザなどでやむをえず急な対応が必要な場合には、3日分を限度に治療薬をその場でわたすとともに、市内の医療機関への受診を促す。「インフルエンザの治療薬には、タミフルやリレンザなど、さまざまな薬があります。それぞれの特徴は……」。

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職員の奮闘が、気仙沼の医療を支える

仮設住宅の集会所で開催された健康相談会で、東京都内の病院から駆けつけた上久保和明医師(35)の話を聞いた吉田ミワ子さん(70)は、「かかりつけの病院で処方してもらっている薬について、ほかの先生からも話を聞けてよかった。ふだん通っている病院は患者が多く、ゆっくりと説明を聞くことが難しかったから」とよろこぶ。

震災から2年。「過疎地」と呼ばれてきた気仙沼の医療は、踏みとどまったスタッフと全国からの支援が融合することで、大きく変わろうとしている。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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