名作絵本「ねないこだれだ」の意外な真実 子どもの世界はきれいごとだけじゃない
大人になると、自分もおばけの世界をのぞいていたことなどすっかり忘れてしまって、しつけとしておばけの本を読んだりしてしまう。でも、しつけのために絵本を読まれて、子どもは楽しいでしょうか? 絵本は、大人のためのものではないんです。もちろん一緒に楽しめたほうがいいけれど、絵本はあくまで子どものものですから。
子どもの世界は、時々おばけの世界と交わることがあります。子どもはおばけが「いる」ということを知っていますから、あんなにドキドキできるのです。おばけの本を読んであげているときの、子どもの様子をみれば、すぐにわかります。子どもはすっかりおばけの世界に飛んでいっているのです。
私は子どもの世界をずっと描いてきました。だから、お父さんやお母さんにも、「子どもの世界ってどうなのだろう」と創造力を働かせて、絵本を選んでいただけたらと思うのです。大人には意味がわからなくても、子どもが夢中になっている本があると思います。それはもしかすると、子どもの世界だけが描かれているからかもしれません。
『めがねうさぎ』は、初めてめがねをかけることになったうさぎのお話です。これは私の息子がモデルなのですが、めがねをかけることになったうさぎは、
「ちょっぴりはずかしくて、ちょっぴりとくい」
なのです。
大人からみると、「小さいうちにめがねなんてかわいそう」などと、つい思ってしまうものですが、子どもはそうではないみたい。子どもの世界は大人のそれとは違うのです。
かわいくまとまらない絵本
私の絵本は、シュールだとか、怖いとか言われることもあるのだけど、それは本当に子どもの世界を描いているからです。絵本には、かわいくまとまっているものが多いのですが、「みんななかよし」「あの子もこの子もみんないい子」などということは、本当はないのです。子どもの世界は、けっこう厳しいし、理不尽なことだってたくさん起こる。
嫌いなにんじんを食べなきゃいけなかったり、ぐちゃぐちゃの髪の毛にブラシをかけなきゃならなかったり。いつまでも起きていたいのに、寝なくちゃならないなんて……! それが子どもの世界です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら