大成建設、津波対策で独自研究設備を開発 建設業の“負のイメージ”払拭狙う

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主流の実験方法の欠点を克服

水槽に垂直に設置し、水槽の底に留めつけた造波板を前後にピストンで動かす「ピストン式」は、主として水面近くだけが大きく動く、波高を出すためには規模が大きくなりすぎるなどの欠点があった。

また、ポンプで水底から水塊を押し出す「ポンプ式」。この方式では急激な波の立ち上がりを造りにくい。また大容量のポンプが必要になる。

さらに比較的多くの津波の水理実験に使われてきたのが「チャンバー式」。水塊落下を利用し、チャンバーを大きくすれば簡単に長周期、大波高の実験が可能だが、チャンバーや開口部の形状で波形、波高が限定されてしまい、多様な波形を造りにくい。

こういった欠点を排し、できるかぎり現実の津波発生のしくみに近づけようと開発を進めてきた。

容積4立方m余りのチャンバーに、電子制御の吸気バルブを8個付け、プールの端に並べるが、バルブ開放のタイミングを0.3秒など微妙にずらすことで波形や波高をコントロールする。30分の1スケールの場合、水深40cmの実験用プールで最大波高40cmなら、水深12mとなる。水深の変化や海底の地形などは、水槽の底に加工すれば対応可能で、津波の挙動をより高い精度で解析できる。

自社の設計や新構法の開発に生かすほか、沿岸に施設を持つ企業などへのBCP(事業継続計画)提案や共同研究も視野に入れている。

今後、津波のほか、無人化施工やZEB(ゼロエネルギー・ビル)などの研究施設を設置する計画だ。

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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