3.11から見る日本政治の限界

元マッキンゼー・現職政策担当秘書が斬る!

福島県第5区の投票率は、68%から55%へ、大幅に下落している。戦後史上最低となった全国平均の59%よりもさらに低い投票率だ。

彼らの関心事は「原発事故の収束、復興」だったはずだが、どの政党も主張があいまいだった。廃炉政策、中間貯蔵施設の設置や帰村の見込み、賠償、雇用政策、健康・風評被害対応など、たくさんの論点があるのに、どの政党も「復興」のスローガンばかり。自民党以外の政党は皆「脱原発」を主張したものの、違いが見えなかったし、「脱」とか「卒」とか、言葉遊びに陥った感がある。すべての政党が「原発」を争点にしたいがために、福島で擁立合戦が起きた。その結果、非自民票は分裂し、自民党が勝った。

政治家のエゴが、福島の有権者の声を抹殺したのだ。

「日本全体」での民主主義はもう限界?

ここでの問題点は、日本全体で「民主主義」をやろうとすると、当事者意識の低い大多数の人々の意見が優先される、ということだ。原発にしても、福島の声は国政に届かず、リスクを感じていない人々の意見が優先されてしまう。都市部と地方間での「1票の格差」を是正せよ、と騒ぎ立てることが多いが、少数の当事者の意見を抹消することが本当に正しいのだろうか。

「2030年代までに原発をゼロにする」と叫んでも、今の衆議院議員の過半数は、2030年時点には60歳以上の高齢となる。

日本全体でみれば、高齢者の人口が圧倒的に多いため、民主主義の原理によって、若者ほど当選率は低く、高齢者ほど当選しやすい構造となってしまう。これでは、2030年に責任を持てる若い政治家は生まれない。世代という観点からも「日本全体」での多数決民主主義は、当事者達の声をかき消してしまうのだ。

(候補者÷当選者で算出)

永田町の人たちは「東京かぶれ」?

原発事故で取り残された人たちの避難の記録を取材している、ジャーナリストの相川祐里奈さんから、耳の痛い話を聞いた。

「飯舘村出身の高校生の母親に取材をしたことがあります。『高校を卒業したら福島を出てもいいんだよ』という母親の言葉に対して、高校生の娘は『東京に行ってしまったら、福島のつらさもいろんなことも忘れちゃうでしょ。東京から帰ってきた友達はみんな東京かぶれしてるように見える。私は、東京人みたいにひとごとのような顔する人になりたくない』と言ったというお話を伺いました」

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