テレビだけで職業を決め込むのは間違いだ 自分自身の「経験」をきっかけにしよう

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やはり仕事という人生の大部分を占める対象を選ぶ以上は、自分自身の実体験に基づく経験がきっかけであるべきです。テレビでたまたま見たことが、その対象(仕事)を「深掘りをするきっかけ」になってもよいのですが、「仕事を選ぶきっかけ」になってはちょっと根拠としては弱いと言わざるをえません。そういった仕事は決して長続きしないでしょうし、そもそも身が入らないでしょう。

弁護士という仕事に従事するためには、当然、難関試験に受かる必要があり、長く難しい勉強を経ないといけませんから、よほどモチベーションが高くないと続きません。続かないということは、ご自身の貴重な時間を無駄にしてしまう可能性が高いということです。ですから、「その他」の選択肢をもう少しまじめに考えてみるべきなのです。

とはいえ、理想は現状で熱中できる対象のフランス語を活用した仕事ということで、フランス文学研究を人生の一部に添えたいということですね。仮にそうだとすると、仕事はフランス語を手段として活用する何かを見つけ、趣味として文学を継続し、将来的に文学の分野でプロとして食べていけるレベルになれば、その時点で文学が仕事の対象になるわけです。フランス語のスキルだって磨けますし、一石二鳥です。

プラスアルファでほかのスキルを身に付けよう

語学とはやはりツールですから、通訳や翻訳、教師といった仕事を除くと、それそのものではやはり仕事にはなりにくいという特徴があります。しかしながら、プラスアルファでほかのスキルを身に付けることにより、仕事を選ぶ際の選択肢の幅が広がることも事実です。何も文学ということで、選択肢を現時点でひとつに絞ってしまう必要はありません。急がば回れ、です。

ほかの仕事をしつつも、その仕事を通じてフランス語のスキルをもっと向上させる。そして同時進行で文学も自分の生活の一部として継続して取り入れ、いつかは文学の分野で一目置かれる存在になることを目指す、そういった考えもありでしょう。

そう考えると選択肢はかなり広がります。貿易関係、コンテンツ関係、製造でも何でも、フランスとの取引があればフランス語を活用するチャンスもあるでしょう。何も「今選ぶ仕事=永遠の仕事」ととらえる必要もありませんし、「フランス文学関連の仕事か、フランスとまったく関係のない仕事」という2択で考える必要はないのです。自ら選択肢を狭めてはいけません。

大事なのは、人生の一部に大事なフランス文学を継続して取り入れ続けることと、将来その分野でチャンスが巡ってきたときに、そのような仕事に就ける可能性を自ら捨ててしまわないことです。

人生において最終的に成功できる人というのは、チャンスが回ってきたときにそのチャンスをつかむための準備を普段からしている人です。そう考えると、もう少し仕事をまじめに選択することの合理性も理解できるかと思います。

川島さんが、熱中できる対象を諦めずに、将来、巡ってくるであろうチャンスをつかめる人生を歩まれることを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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