オバマ大統領が「広島の折り鶴」に込めた意味 歴史的訪問の裏側に被爆少女との接点を見た

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オバマ大統領の広島訪問は世界的なニュースとなった

今年5月27日。現職のアメリカ大統領として初めてバラク・オバマ氏が広島を訪れました。基地に降り、道路を走り、そして平和記念公園へ――。広島、そして日本、さらには世界にとって歴史的な1日となった。

式典が始まるまで、日本だけでなく世界中のメディアが大統領の動静を逃すまいと、数多くのカメラを配置、その姿をとらえ続けていました。しかし10分間だけ大統領が私たちのカメラの前から姿を消したタイミングがありました。撮影が許されなかったのは、オバマ大統領が広島平和記念資料館(原爆資料館)の中にいる時間。そこで行われていたことは、あとから私たち報道陣にこう伝えられました。

「大統領はメッセージとともに4羽の折り鶴を贈った」

さらに私たちの取材で、オバマ大統領は展示品の中でも、キャラメルの紙や薬の包み紙で折られた小さな折り鶴に対して、腰をかがめ、最も時間をかけて見つめていたことがわかりました。

「アメリカ人って鶴折れんの?」

歴史的な日。大統領の広島訪問の意義や17分間のスピーチに対する分析、被爆者の反応、識者の意見など報道フロアのそれぞれが忙しく走り回る中、一人の女性から素朴な疑問が発せられました。

「アメリカ人って鶴折れるのかな・・・」

当然この日はそんな疑問を持つ人など誰もいませんでした。しかしその疑問は日が経つにつれ、なんだかとても気になる疑問に膨れあがり、記者としての良くない性格である物事を疑ってみる習性が、素朴な疑問を「本当にオバマが折ったのだろうか…」という疑念に変化させていました。私たちは「大統領折り鶴作戦」の裏側の取材に入りました。

オバマ大統領はいつ、どこで折ったのか――。TBSテレビ『終戦71年スペシャル オバマ大統領の折り鶴』(8月6日(土)午後3時30分から放送)取材班は、さまざまな角度からオバマ大統領が折り鶴に込めた思いを読み解こうと取材を重ねた。

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