オバマ訪問1カ月、広島は何が変わったのか 外国人の訪問は急増しているが…

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オバマ大統領が作った折り鶴が展示されている(筆者撮影)
米国のオバマ大統領が被爆地の広島を訪れて1カ月あまりが経過した。訪問当時はあれだけ注目された「広島」も今ではほとんどニュースになることがない。あの嵐のような"事件"を広島はどのように受け止めたのか。そして何が変わり、何が変わっていないのか。現地を取材した。

 

オバマ大統領が広島を訪問した"効果"は絶大だった。訪問翌日の5月28日(土)とその翌日の29日(日)2日間の広島平和記念資料館の来館者数は合計1万3389人を記録。このうち2869人が外国人だった。1年前の5月最終の土日と比較すると、来館者数は2倍、外国人も2倍に増えた。

6月1カ月間を見ても、来館者数は前年同月比41.8%増の14万8432人。外国人に限定すると56.5%増、修学旅行など団体を除くと実に64.1%も増えた。

手前から順に、オバマ大統領のメッセージ、オバマ大統領が自ら折ってメッセージに添えた折り鶴、オバマ大統領から子供たちへ手渡された折り鶴(筆者撮影)

さらに、6月1カ月間の来館者数をデイリーに追ってみると、6月は修学旅行が一段落する時期であるためか、昨年同様、総入館者数は月末に向けて若干落ちているが、外国人の訪問は逆に増えている。6月9日以降、オバマ大統領が記したメッセージ、オバマ大統領自身が折り、メッセージに添えられた折り鶴2羽、そして資料館でオバマ大統領を出迎えた子供たちに、オバマ大統領が手渡した折り鶴2羽の計3点の展示が始まったことも影響しているかもしれない。

増加著しい外国人入館者

開館初年度の1955年度に11万人強だった平和記念資料館の入館者数は、1971年度に100万人を突破。年度によって多少の増減を繰り返しながら、1991年度には159万人に達したが、その後は減少に転じた。2004年度の106万人を底に、2009年度にいったん140万人まで回復するも、東日本大震災が発生した2011年度には121万人に減った。だが、2012年度からは徐々に回復。2015年度は突如前年比18万人、率にして13%の増加となり149万人になった。

大幅増の主たる要因は外国人の増加だ。2014年度は23万4360人だったが、2015年度は33万8891人。前年比で10万人、率にして44%もの伸びとなった。前年比半減の9万6510人に激減した2011年度と比較すると、2015年度はその3.5倍だったことになる。

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